本日は永生病院をまわり、

全日本病院協会の臨床研修指導医講習会に参加しました。  

 

 

    

臨床研修指導医講習会の冒頭では、開会の挨拶をさせていただきました。
医師法第 16 条の 2 第 1 項に規定する臨床研修に関する省令の施行について」において、指導医は、原則として、内科、救急部門、外科、麻酔科(部門)小児科、産婦人科及び精神科の診療科(部門)に配置されており、個々の指導医が、勤務体制上指導時間を十分に確保できることが求められております。指導にあたっては研修医5人に対して指導医が1人以上配置されている必要があり、指導医は指導医養成講習会を受講していることが必要です。
本講習会は厚生労働省の開催指針にのっとった指導医養成講習会となっております。

 

私の方からは、「この研修会は全日本病院協会と日本医療法人協会の共催の研修でございます。現在、日本の医療界においても厚労省は2つの大きな政策を打ち出しております。一つは地域医療構想、もう一つは地域包括ケアです。他にも専門医制度の問題、医師需給の問題等、様々な問題がありますが、中でも第一に取り組んでいくべき問題が、良い医師を育てていく、という事です。医療技術は当然として、「人間力」のある先生方が地域でご活躍していただくという事がとても大切だと思います。
この研修は、ご自分の病院を臨床研修の現場にしていただく、つまりは病院経営という位置づけで捉えていただき、多くの情報をお持ち帰りいただければと思っております。
研修は厚生省の指針にのっとって行われ、5つの大きなポイントがございます。
それは
●臨床研修制度を理解していただく
●より良い研修病院を作るためにはどうしたら良いかを考えていただく
●カリキュラムの形成を学んでいただく
●研修医が卒前研修で何を学んだかを把握していただく
●研修医が病院に求めることを把握していただく
です。

 
これらのポイントを中心にワークショップ形式の2日間にわたる研修会になります。
また、講師の方々も厚生労働省医政局の武井貞治医事課長を始めとして、当協会の医業経営・税制委員会委員長である中村康彦常任理事がディレクターを、佐賀大学医学部附属病院 卒後臨床研修センターの江村正専任副センター長がチーフタスクフォースを務められ、また、タスクフォースには、東邦大学医学部の長谷川友紀教授はじめ、星総合病院の星北斗先生、上尾中央病院の黒沢祥浩先生、本荘第一病院の柴田聡先生、佐賀大学医学部附属病院の吉田和代准教授と、現場に精通した豪華な先生方でございます。是非学んだことをご自分の病院・地域医療に還元してください」

とお話しさせていただきました。

   

 

   

その後、グループ内での自己紹介を挟み、武井貞治先生から「医師臨床研修制度の理念と概要」のテーマでお話しいただきました。

 
①医師臨床研修制度の経緯②臨床研修の質の向上③地域医療の安定確保の3本柱で
・臨床研修医制度は時代の流れと共に変化し続けている。
・受け身の研修が問題になっている中、研修医・病院がどのような到達目標を持つべきか、病院の規模や種別によって考えて行かなくてはならない
・各病院で研修医を受け入れる組織体制づくりをしっかりしていく。帰還形臨床研修病院の基準を明確にして行く必要がある。
・療養・出産、育児・介護などの理由で研修を中断されてしまう方にも90日以内に再開すれば、延長などすることなく演習を終えられる仕組みもある。それ以上長期に渡って中断しても再開できる仕組みづくりが必要である。
・地方で研修医を確保する仕組みも大切である。
・新専門医制度と総合診療専門医について国でも専門医認定支援事業に力を入れていきたいといった内容のお話でした。

 
質疑応答も大変白熱しており、受講者の皆さんの熱心な姿勢が伝わってきました。

   


 

 

その後、平成28年度東京都在宅療養研修事業(東京都委託)である東京都在宅療養推進シンポジウムに参加いたしました。今回のテーマは「病院から暮らしの場へ~みんなで支える在宅療養~」です。

 

 

東京都医師会 平川博之理事の司会で開会し、初めに東京都医師会 尾﨑治夫会長から
「退院後、生活の場に安心して帰るためには多職種が協同してサポートすることが大切です。本日も現場で活躍される先生方がご講演いただけることになっておりますので、是非、活発な討論が行われることを期待しております。東京都では、疾病予防の柱として受動喫煙防止を、介護予防の柱にフレイル対策を掲げ、人生を最後まで安心して送ることができる社会を目指してまいります。」とご挨拶を頂きました。

 

続いて東京都福祉保健局医療改革推進担当成田友代部長より「東京都では病院と地域がつながる取り組み、すなわち訪問看護ステーションや在宅ケアセンターなどを通して住民と病院・施設が相互理解を深めることができるよう、このシンポジウムを開催しております。みなさんの連携推進のお助けができれば幸いです」とご挨拶を頂きました。

   

  

第⼀部は【在宅療養の推進に向けた病院と地域の連携について(総論)】というテーマで私も医師会理事として座長を務めさせていただきました。

 

東京都在宅療養推進会議会長新田 國夫先生からは
・今後は、85歳以上の方を対象に介護を考えていかなければいけない。
・最後まで地域で生活するためには、75歳以上の生活の質を上げる必要があり、そのためには医療・介護サービスを適切に受ける必要がある。
・アンケートを取ると、多くの方は人生の最後の場所に病院・介護施設は望んでおらず、医療を受けたいとも思っていない。
・在宅医療推進について、在宅医療に関する具体的な効果は示されておらず、その方法もサ-ビス提供者によって、様々なものがある
・これらを踏まえ、医療提供体制を改革していく必要がある。
とのお話を頂きました。

 

続いて、内藤病院院長内藤誠二先生からは
・医療はそもそも「治る」ことが目的。入院医療は結果が評価されるが、在宅医療では「支える」ことが目的。病気の経過が評価される。
・これまでの入院医療は「キュア」。これからの在宅医療を支える入院医療は「ケア」を目的としてくべきである。
・病床機能は細分化されているが、在宅復帰は地域包括ケア病棟に限らず、全ての病院から求められている。
・地域包括ケアでの入院医療では、安定して退院するために、入院時と退院時のADLの変化に注意する。
・東京都の退院支援マニュアルでは、様々なシートが定められているが、中でも在宅医療を支える重要なものは「入院時情報連携シート」で、これがしっかりと記入されていることで、多職種連携が実現する(目標ADLがはっきりする)。
・これからの病院は地域包括ケアシステムの中での立ち位置を意識して、徹底的に地域との連携を図っていくことが必要である。とのお話を頂きました。

    

休憩をはさみ第二部は、【病院と地域の連携のために⾏っている具体的な取組.好事例等の紹介】というテーマの下、平川博之先生を座長に講演・パネルディスカッションが行われました。より現場に近い先生方から、実際のケースについて具体的なお話を伺うことが出来ました。

 

初めに東京都介護支援専門員研究協議会 小島操副理事長からは
・病院で出来ることは家でも出来る。点滴だって出来ると話すと、患者様は皆、驚かれる。
・在宅と言っても、ずっと家にいなければいけないわけではない。ショートステイなどを使っていくことで、家族も仕事を続けながら在宅医療を受けることができる。
・退院に向けては、早めの情報交換が必要。
・病院の窓口が分かりにくいことがある。ケアマネージャーとしては、退院までの連携を約束したい。
・地域での暮らしの場は自宅のみと限定しない。「在宅ときどき病院」
とのお話を頂きました。

 

次に田園調布医師会(大田区) 在宅医療連携調整窓口担当井岡幸子先生からは
・在宅医療連携調整窓口では、病院から在宅への円滑な移行をサポートする。
・医療と介護の垣根は依然として高く、そこの橋渡しをすることも一つの目的となっている。
・医療的な問題のみの相談は非常に少なく、介護・福祉との複合問題が多い。この事からも、いかに多職種連携がいかに重要かが伺える。
・大きな二本柱として「病院と地域の連携推進」「地域の医療と介護の連携推進」に取り組んでいきたい
とのお話を頂きました。

 

次に、牛込台さこむら内科迫村泰成院長からは具体的な症例として、実際に入院から在宅に移行した患者様についてのケアマネージャーとのメールのやり取りなどをご紹介頂きました。在宅医療に円滑に移行できるかどうかは、在宅移行期が肝で、この段階で多職種が関わらないと、ケアマネージャーのみに多大な負担がかかってしまうなど、不都合が起きてくる、とのお話を頂きました。

 

最後に日本医科大学付属病院患者支援センター安部節美看護師長から
・「家に変えいりたい患者を帰せるシステムを」というコンセプトのもとに、退院支援が始まった。
・入院中にケアマネージャーとの情報共有の機会を増やした。
・まだまだ在宅のイメージを持たない看護師も多い。退院支援担当医師・看護師を任命し、ワークショップを開催した。
・上記を実施した結果、院内での多職種間での相談が増え、患者様からの評判も良くなった
というご講演がありました。

 

  

その後、一部、二部の講師の先生によるパネルディスカッションが行われました。会場からの質問に答える形で行われましたが、非常に鋭い質問が飛び交いました。

  
夜間コールセンターの設置についてについては、「夜間コールセンターの需要はそれ程多くはない。実際の需要に沿ったシステムの構築が必要」「患者様と医師の信頼関係を考えると、夜間だけの関係は望ましくはない」。口腔ケアについては、「非常に大きな問題。これから取り組まなければいけない」「現場から歯科医にはどうしても問題提起をしにくい。医師会などで取り組むべき問題」、といった意見が挙がりました。

 

多職種の方々が集まってのシンポジウムは、医療・介護の関係者にとどまらず、一般の市民の方々にも是非聞いていただきたい、とても有意義なお話でした。

 

その後、司会の平川先生より「これからの日本は、大規模な商店だけでなく、電気が切れたときに電球を変えてくれる『近所の電気屋さん』のような存在が非常に大切になってくると思います。心の通った地域包括ケアができるよう、皆さんで力を合わせていきましょう」とのお話を頂きました。

 

   

最後に私の方から、「これからは底辺を広げていくことが大切です。本日いらっしゃった皆さん一人一人が地域包括ケアの考えを地域に広げていっていただけますと幸いです。また、本日は様々な業種の先生が講師として来て頂きましたが、皆さんの考え方に共通するのは、患者様・利用者様の満足度を第一に考えていることです。提供する側も提供される側も良い思い出を作れるような医療介護を目指しましょう。」とご挨拶させていただきました。
    

     

 

その後、移動しまして、ご入職希望の先生の面接をさせていただき、

最後に、セントラル病院の松濤・分院・本院南多摩病院をまわりました。