東京財団主催による、医療・介護制度改革を考える連続フォーラム第3回「日本とオランダの介護政策の将来像」に参加してきました。

秋山昌廣理事長の挨拶から始まり、モデレーターの三原岳さんから、日本とオランダの政策の共通点として、要介護認定制度が取り入れられている点、民間の参入が行われている点、制度の持続可能性を考えた際に将来の見通しが厳しいと言う点が挙げられ開始となりました。

ライデンアカデミーのデル・ワール先生からはオランダの介護政策の紹介がありました。

オランダではMSBZという公的介護保険システムが運用されています。これは、0歳の時から強制加入となっており、CIZという機関が行う要介護認定を通じて、家事援助や移送、車いす等のサービスの提供を行います。

興味深いのは、友人や隣人などいわゆる素人のサービスも給付の対象となっており、社会参加に大きく焦点が当てられている面です。また、要介護の状態によって、サービスがパッケージ化されて整えられ、価格設定がされています。加えて現金給付も整備され、要介護者の自主的選択の機会が提供されているそうです。

お茶の水女子大大森正博准教授もこうしたオランダの介護政策の利用者の自主性をほめておられ、日本においてもサービスの自由な選択が行われることを強く願っておられました。さらに公的医療保険が総合一本化されるべきと説き、オランダのようなかかりつけ医によるプライマリーケアの推進を提唱されました。
ケアーズ白十字訪問看護ステーション秋山正子代表取締役は、自立性の高い看護師が包括払いの中で医療・介護サービスが行われているオランダの現状をふまえ、日本における病院と地域の橋渡しをする多職種連携の難しさに言及されました。

また、日本においては根深い医療と介護との間の溝を指摘され、地域ネットワークが様々な職種、人々の学び合いの場として機能することの必要性を説かれました。予防から看取りまでをカバーして暮らしていける地域をつくる看護と介護の一体となった場の必要性を強調されました。


在宅での医療に重点が移されつつある日本の現状を考えると、オランダの政策や取り組みはかなり参考になると思います。

ただ、これから取組が本格化していく最中においては、単純に良い点を吸収するのみではなく、ネガティブな面も同様に学んでいく必要があると思われます。

参照すべき点を参照するのはもちろんですが、自分たちの置かれた状況を見極める姿勢が何より必要であると改めて考えさせられました。