左の橈骨遠位端を骨折した人の話です。
橈骨とは前腕部にある2本の骨の内の1本で、遠位端というのは手首に近い位置という意味です。
転倒した際、手をついた弾みで折れることが多い部分です。
全治6か月、要手術という診断で、初診時にはすでにギプス固定されていました。
ギプスにより手首、肘の関節は完全固定、指先は少し動かすことが可能でした。
身体を見ていくと、折れている左手ではなく、右の肘当たりに反応が強く出ていました。
東洋医学では、患側とは逆の健側からアプローチするという方法がありますが、今回の反応は、左手の治療のために出現している反応というよりは、右肘外側そのものの異常のようです。
また肘だけでなく前腕部の橈骨と尺骨の間にある方形回内筋という筋肉にも異常がありました。
これらの部分は骨折をする前にそもそも痛みのあった部分だそうです。
それらを考慮して考えると、最初は右手の問題があり、転んだ時にうまく右手でかばうことができずに、左手で手をついた結果の骨折だった可能性があるということです。
骨折したという結果の背景に、そうなっても不思議ではない環境なり、状況なり、状態があることがあるということですね。
ケガなどは、たまたまとか、運が悪かったということで片づけられてしまうこともありますが、日々身体に目を向けていると防げるものもあるのではないか、
そう考えさせられる症例でした。