広島と「赤い糸」で結ばれていたのはドラフト1位中村奨成捕手(18)=広陵=だけではない。同2位山口翔投手(18)=熊本工=、同3位ケムナ・ブラッド誠投手(22)=日本文理大=も幼少時代から、カープファン。2軍大野練習場がある廿日市出身の“怪物”に負けず劣らずカープと縁のある2選手だ。
山口は熊本生まれ、2歳から小5まで広島で過ごした。小4から広島の「高陽スカイバンズ」で野球を始め、遠足で市民球場へ出掛けたり、マツダスタジアムのマウンドに立ったこともあるという。
あこがれは元広島のエース前田健太。中学まで「マエケン体操」を続け、持ち味のしなやかな腕の振りを生み出した。山口は「前田健太投手を目指してやってきたので、近づけるように大投手になりたい。(カープは)小さい頃から応援していた球団。広島を盛り上げたいです」と満面の笑みで喜びを語った。
ハワイ生まれのケムナは米国人の父、日本人の母を持つ。3歳の頃に来日し、東京、和歌山と移り住み、5歳から宮崎の日南で過ごしている。観光で宮崎を訪れた父が「ハワイに似ている」と気に入ったという。日南と言えばカープのキャンプ地。天福球場にはよく訪れたそうで、「弟はボールボーイ、母はアルバイトをしていました」。こちらも生粋のカープファンだ。
ドラフト指名あいさつを受けた際には、思わず本音を漏らした。「大人の事情でなるべく隠していたんですが…、カープが好きです!すごくうれしかったです」。趣味のサーフィンは高1まで。黒田博樹氏の「クオリティピッチング」を読破するなど、カープの影響も受けて、野球にのめり込んだという。
あこがれの球団から指名されること自体が珍しいのに、ドラフト1位から3位までの選手が相思相愛なんて、奇跡に近い。山口とケムナを担当した田村スカウトは「縁があって良かった。スケールの大きい投手になってほしい」と胸をなで下ろし期待を込めていた。
CSはまさかの敗退に終わったが、ドラフトはハッピーエンド。近未来のチームを支える“元カープ男子”の活躍に期待大だ。
(デイリースポーツ・杉原史恭)