まず、携帯代の利用明細。
 
 
 
 
通話やネットの利用は特に多くなかった。
 
10万近くの携帯代の殆どをしめていたのは
携帯料金払いの買い物だった。
 
 
購入品は、数万単位のブランド品の小物。
 
 
 
何故、こんな買い物を毎月していたのか。
 
 
 
それは、私の私物のブランド品の時と同様
質に入れたり、転売したりして手元に現金を得るため。
 
 
 
普通このやり方は、買うときの金額の方が高くなり
損になるが、彼の携帯代は私払いだったので
手元の現金にさえなればよかったのだろう。
 
 
 
 
 
 
それよりも重要なのは、
そこまでして手にした現金を何に使ったのか。
 
 
 
 
 
 
これは、携帯の覗き見だけではなく
彼の日頃の行動にも答えがあった。
 
 
 
 
 
彼が仕事と行って向かっていた場所。
 
 
 
 
毎回ではないが、大半がギャンブルだった。
 
 
 
 
知り合いのパチンコ屋での目撃情報と、
ネットでの馬券購入で判明したのだ。
 
 
 
私がギャンブル嫌いなのを知り、つきあった当初から
“ギャンブルはやらない”と言っていたのに。
 
 
 
 
そしてさらには、彼の服の引き出しから
借金の返済に関する控えが出てきた。
 
 
 
 
それはどうやら、いわゆる闇金の明細だった。
 
 
 
 
 
つまり彼は、闇金の借金を返すため、
私名義の携帯支払いでブランド品を手に入れ
それを転売したりして手にした現金を元手に
ギャンブルに通いつめていたのだ。
 
 
 
 
 
 
私に借金の存在は、知らされていなかった。
 
 
 
 
 
何でできた借金なのか。
 
 
 
どのくらいの額が残っているのか。
 
 
 
 
それは直接彼に、聞くことにした。
 
 
 
 
 
 
今まで彼は何度か、仕事に使う道具やらにお金が必要と言い
私も承諾し渡していたが、購入したはずの道具は家にはひとつも
持って帰ってきたことがない。
 
 
 
 
きっとあのお金も全て、
借金の返済かギャンブルに消えたのだろう。
 
 
 
 
 
 
彼が闇金で借金をしたのは
ブラックリスト入りしているからだとして
 
そもそも何故、ブラックリストになったのか。
 
 
 
 
 
同棲前に聞かされていた理由は、
前の仕事関係で騙されたからだと。
 
 
 
 
だけどここまで嘘をついていたのなら、
それも違うのかもしれない。
 
 
 
 
 
 
ここまででわかった事は一旦伏せておいて、
全て調べ尽くしてから、彼に話を聞くことにした。