幼稚園の頃

当時小さな戸建てにすんでいて

その日は外出中の姉以外が家にいて
両親と私、兄が1階で過ごしていた


それは突然はじまった。


父と母が不穏な空気

はじめは些細な言い合いのようだったが、
父の声がどんどん荒ぶっていく


そして
キッチンにいる母に向かって
父は飲んでいたお酒のグラスを投げつけた



パリーン


父はどんどんエスカレートする


私の目の前で、酒瓶やらグラスやら

手当たり次第母に向かって投げつける父


恐怖のあまり声を殺して泣く私を

隣にいた兄が風呂場に連れていく。

父に気付かれないように、ゆっくり、そっと



風呂場に兄と二人座り込み、
兄は私の肩を抱き
「大丈夫。大丈夫。静かにしててね」と寄り添い続けた

兄はまだ、小学生。


どのくらい経っただろう、しばらくして
騒音に気が付いたお隣の家のおじさんが
家に入って来て父を止め、なだめた


喧嘩がおさまり、
父が兄と私のいる風呂場に来て

「ごめんな」

そういって、私は父に
兄はおじさんに連れられ

家の間取り上、ガラスの破片だらけのリビングを通って2階に移動させられた


父に抱き抱えられながら
凄まじい部屋の荒れようを目の当たりにした

父もおじさんも、足が血で赤くなっていた



背を向けて片付ける母の顔は見られなかった