「哀れなるものたち」〜POOR THINGS

まず エマ・ストーンが凄い!!

「PERFECT DAYS」の役所広司が抑えた演技

表情のちょっとした変化で魅せたのに対し

エマ・ストーンは表情は勿論 身体の隅々まで

全てを駆使し演じきって 迫力が凄い…

こちらも役者魂 全力投球の感がヒシヒシと

伝わってくる  


そして印象的なのが舞台となるヴィクトリア朝

ロンドン・リスボン・船中・アレキサンドリア

パリ…エマ演じるベラの成長と心象風景が

凝りに凝ったセットで 見応え十分過ぎ…

ドレープで薔薇?あるいは人体の中?を

思わせる 生家であるバクスター邸の天井 

建造物はM.エイゼンシュタインのような

雰囲気が漂っておりました


マネ「草上の食卓」を思い起こさせる色彩の

シーンは 初めて邸外に出掛けたシーン


リスボンはベラの脳内ファンタジー


紫の空と雲 鈍色の海とベラ


こちらは 蒼く垂れ込めた雲と凛々しいベラ


短いスカートに裾を引く羽織り物を纏うベラと

禍々しい暗雲

どのシーンも絵画のようです


船上で文学や哲学を知り パリでは娼館に就職!

同僚から社会のことを学び 他の男たちのことも

知って 学んでいく…


一人の女性の成長する姿であり 社会が変化して

いくプロセスでもあるのだけれど… 


生みの親であるゴッド(ゴドウィン)・バクスター

婚約者マックスは変化を求め受け入れる存在

ダンカンと元夫は古い因習に固執する悪しき

ゲス野郎…

船上で出会う老婦人と黒人青年は導く者

無垢で無知な存在から社会的な存在として

成長するベラの周囲の特徴的な人々は きっと

我々の周囲にも形を変えて存在しているだろう


最後にベラの生みの親である正に神=ゴッドで

ある外科医のゴドウィン・バクスター…


一目でフランケン?と思わせる容貌は

勿論それを意識した造形なのでしょう

彼自体が父から実験体として作られたよう

看護師(?)は登場するけれど 母は居ない…

新しい生命体を作り出しては飼っている…

う〜む この辺りが微妙ではありました

ヴィクトリア朝って切り裂きジャックが登場

するなど 不穏な空気が漂う時代

監督の「女王陛下のお気に入り」もコスプレの

時代物でした(もっと前だけれど)


不協和音や"ゆらぎ"のような不思議な音 音楽

イェルスキン・フェンドリックス…未知の方!

検索しても詳細不明 これから注目したいと

思います


140分超えですが 映像とストーリー展開が

予想を超えて行くので 劇場鑑賞 オススメかも

ま かなりグロいシーンも多いので 予感がすると

目を閉じておりましたネガティブ

「素敵なセットのお話…」