寄贈肋軟骨は炎症・曲がりが起こりやすい?
鼻整形で使う軟骨について医学的に解説
こんにちは😊 AND整形外科、鼻整形専門医チェ・イムドンです。
鼻整形のカウンセリングでは、
「寄贈軟骨は他人の軟骨だから炎症が起こりやすいですか?」
「自家肋軟骨なら曲がらないのでしょうか?」
「結局、自家軟骨と寄贈軟骨はどちらが安全ですか?」
といった質問をいただくことがあります。
現在AND整形外科では『寄贈肋軟骨は使用していません』
ただ、鼻整形に使用される軟骨材料について正しく理解するためには、
『寄贈軟骨だから危険』 『自家軟骨だから絶対に安全』
という単純な二択ではなく、それぞれの材料が持つ性質と、どのように使用するかまで知ることが大切です。
今回は、過去に発表された医学研究も参考にしながら解説していきます🔬
「自分の軟骨ではない=問題が多い」は本当?
「寄贈肋軟骨はもともと自分の身体にあった組織ではないため、自家肋軟骨より炎症や副作用が多いのでは?」
この疑問については、以前から形成外科・鼻形成術の分野で研究されてきました。
📸【JAMA Otolaryngology–Head & Neck Surgery掲載論文】
2020年には『JAMA Otolaryngology–Head & Neck Surgery』に、自家肋軟骨と同種肋軟骨を使用した鼻背形成術を比較したSystematic Review and Meta-analysisが掲載されています。
複数の研究を統合して、
・warping=軟骨の反り・変形
・resorption=吸収
・contour irregularity=輪郭の不整
・infection=感染
・revision=再手術
などについて比較しています。
自家肋軟骨と同種肋軟骨との間で、主要な合併症について統計学的に有意な差は認められなかったと報告
📸【メタアナリシス結果】
この研究では、自家肋軟骨と同種肋軟骨との間で、主要な合併症について統計学的に有意な差は認められなかったと報告されています。
つまり医学的には、
「寄贈軟骨だから必ず炎症が起こりやすい」
と一括りにすることはできません。
では、なぜ現在のANDでは寄贈肋軟骨を使用していないのか?
ここは非常に大切なポイントです。
研究上、寄贈肋軟骨そのものを一律に「危険」とする根拠があるから使用していない、という意味ではありません。
現在のANDでは、鼻先形成や鼻柱の支持など、軟骨による構造的な支持が必要な部分について
『自家軟骨を中心に手術計画を立てています』
鼻は単純に高さを出すだけの手術ではありません。
鼻先をどの方向へ動かすのか、どれくらいの支持力が必要なのか、鼻柱・鼻翼・鼻唇角との関係はどうなっているのか。
こうした構造を総合的に分析したうえで、必要な軟骨と術式を決めています👃
自家肋軟骨なら「絶対に曲がらない」わけではありません
鼻整形で肋軟骨を検討している方に知っていただきたいのが『warping』です。
肋軟骨には、切り出した後に内部応力によって反りや変形が生じる可能性があります。
📸【肋軟骨のイメージ】
肋軟骨には、切り出した後に内部応力によって反りや変形が生じる可能性があります。
これは「寄贈肋軟骨だけに起こる現象」ではありません。
自家肋軟骨であってもwarpingは報告されており、肋軟骨を使用する以上、その性質を理解した加工・設計・固定が重要になります。
つまり、
「自家肋軟骨=絶対に曲がらない」
という説明も医学的には適切ではありません。
大切なのは「何の肋軟骨か」だけではなく「どこに、どう使うか」
鼻整形では、材料の名前だけが注目されがちです。
実際の手術では、
「どの部位に使用するのか」
「どれほどの支持力が必要なのか」
「どの方向へ鼻先を動かすのか」
「軟骨にどの程度の負荷がかかるのか」
「既存の鼻中隔や鼻翼軟骨がどのような状態なのか」
まで考える必要があります。
鼻中隔軟骨、耳介軟骨、自家肋軟骨には、それぞれ異なる厚さ・弾性・支持力があります。
材料そのものの優劣だけで手術を決めるのではなく、『目的に合った軟骨を適切な位置へ使用する』ことが重要です。
ANDが現在重視している鼻整形
現在ANDでは、寄贈肋軟骨は使用していません。
患者様自身の鼻の構造をCTや診察で確認し、必要に応じて自家軟骨を選択しながら手術計画を立てています。
特に鼻再手術では、過去の手術によって
・鼻中隔がどの程度残っているか ・既存軟骨が変形していないか ・鼻先の支持構造が弱くなっていないか ・瘢痕や拘縮がどの程度あるか
まで評価する必要があります。
「自家軟骨だから安心」
「寄贈軟骨だから危険」
という材料だけの判断ではなく、
『現在の鼻に何が必要なのか』
を診断することが、鼻整形ではより重要だと考えています。
鼻筋については、さらに考え方が異なります
ANDでは鼻筋形成についても、
「自家肋軟骨なら異物ではないから、鼻筋にも肋軟骨を使った方がいい」
とは考えていません。
鼻筋は長い範囲にわたって滑らかなラインを形成する必要があります。
自家肋軟骨にもwarpingの可能性があるため、鼻先の支持に自家肋軟骨を使用することと、鼻筋全体を自家肋軟骨で形成することは分けて考える必要があります。
ANDではCTデータをもとに患者様の鼻骨・鼻背形態を分析し、必要な場合には『3Dオーダーメイドシリコン』を設計します。
既製品をそのまま挿入するのではなく、一人ひとり異なる鼻骨の形態に合わせて鼻筋を設計するという考え方です。
自家組織か人工物かという一点だけで選ぶのではなく、
『その部位に求められる形状安定性・支持力・デザインをどう実現するか』
まで含めて判断しています。
既製品をそのまま挿入するのではなく、一人ひとり異なる鼻骨の形態に合わせて鼻筋を設計
「材料」ではなく「鼻全体の構造」から考える
鼻整形では、
「肋軟骨が一番いい」
「シリコンは危険」
「寄贈軟骨は炎症を起こす」
といった一部分だけの情報が広がりやすくなっています。
実際には、それほど単純ではありません。
鼻筋・鼻先・鼻柱・鼻翼・鼻中隔・鼻唇角は、それぞれが影響し合っています。
ANDではCT・3D分析と実際の鼻の状態を照らし合わせながら、
『どの材料を使うか』より先に、
『この鼻をどう再構築する必要があるのか』
を考えて手術計画を立てています👨🏻⚕️🔬
鼻整形を検討するときは、材料の名前だけではなく、
「なぜこの材料を使うのか?」
「どこに使用するのか?」
「その材料を選ぶ医学的な理由は何なのか?」
まで確認してみてください😊
ANDではCT・3D 分析と実際の鼻の状態を照らし合わせながら、
『どの材料を使うか』より先に、
『この鼻をどう再構築する必要があるのか』
を考えて手術計画を立てています
【参考文献】
Vila PM, Jeanpierre LM, Rizzi CJ, Yaeger LH, Chi JJ. Comparison of Autologous vs Homologous Costal Cartilage Grafts in Dorsal Augmentation Rhinoplasty: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Otolaryngology–Head & Neck Surgery. 2020.
鼻整形をご検討中の方にとって、
少しでも参考になれば幸いです😊✨
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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