「発酵」と「腐敗」についてのお話しです。
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自分の内なる力で育ち、強い生命力を備えた作物は「発酵」へと向かう。
生命力の強いものは、「菌」によって分解される過程でも生命力を保ち、その状況でも生命力を育む力を残している。
だから、食べものとしても適している。
反対に、外から肥料を与えられて無理やり肥え太らされた生命力の乏しいものは「腐敗」へと向かう。
生命力の弱いものは、「菌」の分解の過程で生命力を失っていく。
だから、食べものとしてはあまり適していない。
(中略)
ある意味で「腐敗」とは、生命にとって不要なもの、あるいは不純なものを浄化するプロセスではないかと思うのだ。
これは、映画『風の谷のナウシカ』の「腐海」のイメージに重なる。
「腐海」は、人間にとって有害な瘴気(しょうき)を出し、汚れた土を浄化して、自然界のバランスを取り戻そうとしている。
おそらく、それと同じことが、「腐敗」という作用のなかで起きていると思うのだ。
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田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」
渡邉 格 著
講談社より
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人間に都合が良いのは「発酵」
人間に都合が悪いのは「腐敗」
と呼ばれます。
起こっている出来事としてはさほど変わりません。
微生物が食事をし、分解している過程で起こるもので、
米や小麦、大豆などの糖類が微生物によって分解されて、しょうゆ、味噌、酒、酢、チーズ、ヨーグルト、パン、ぬか漬け、などができます。
その分解されるときに硫化水素やアンモニアが生成されると、腐敗していきます。
腐敗が悪いとか、発酵が良いという話ではなくて、どちらも自然界にとっては必要なことです。
ただ、これは自然界の流れがそうであるように、人間社会もそうなのかもしれません。
組織において、組織を良い方向に持っていく人は活躍し、
組織を悪い方向に持っていく人は評価されない。
その違いは何かと言えば、先ほどのお話しにあったように、「生命力の強いものは、菌によって分解される過程でも生命力を保ち、その状況でも生命力を育む力を残している」
ということに尽きるでしょう。
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「魂が震える話」
発行人:けい