とても些細な、本当にどうでもよいニュースで、突然涙が出た。
それを自覚したら、心がどんっと突き動かされ、嗚咽をこらえるような悲しみに襲われた。
あれ?
自分はとくに平気だと思っていたのに、なんともなくそれなりに日常を過ごしていると思っていたのに、
本当はそうじゃなかったのかも。
コロナ禍になって、なんとなく世界に溢れている混乱やネガティブな感情の渦。
誰かが誰かを攻撃したり、誰か叫びをあげている今の世界に、
心は傷ついていたのかもしれない。
世の中が自粛して動けなくなっていても、私はずっと忙しくて、休めないままここまで来て、
疲弊の中でも気が張り続けていたから、気づかなかった。
でも、やっぱり傷ついて疲弊してたんだ。
世界は変わった。
いい意味でもよくない意味でも。
数ヵ月前まであった店が居抜きになっている。
道に増えていく路上生活者。
マスクをはずせと集まる人々。
恐怖と混乱。
医療従事者たちは逃げ出せず、ひたむきに仕事をしている。
アーティストたちがそれぞれの方法で叫んでいる。
政治家はズレた言葉を発し、日常を失った人たちは叫ぶ声すら出ない。
いまは非常事態なんだ。
そんな世界の空気は、
家から出ない日々でも呼吸していたのだ。
自分が思っていないよりずっと、
私は苦しかったんだ。
もしかすると、そんな風に知らぬ間に悲しみに押し潰されていたひとは、たくさんいるのかもしれない。
それでもつづく日常に、ただおきあがるしかなく。
愛の歌をすがるように聴いた。
音楽には、不思議な力があることを、太古の昔から人間は知っている。
さて、この時代をどう生きようか?
まずは泣けるときはしっかり泣こう。
いま自分のなかで起こっていることを受け止めよう。
そして、
