目の覚めるような | 作家 坂井あおのブログ

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小説・シナリオ(ドラマ、映画、CM)・写真詩集作家、坂井あおの日々浮かんでは記憶の海に消えゆく思いを気ままに綴るブログです。

目の覚めるようなピンクのツツジが咲く道を行く。

もちろん、今はもう咲いてはいないのだけれど、その道のくねっとひと曲がりした先に見える、あの強烈なピンクを、私はいつも思い出す。


今日は梅雨のグレーに染まる世界が新緑の緑さえも網戸越しのようにくもらせていた。


残像。


誰かの雨の心にも甦る、そんな文章が書けたなら、と思う。



雨の中でこそ、ひときわ美しいアジサイのような文章でもいい。




ひと時期、季語になるほど存在感を見せるアジサイ。


実は他の季節のアジサイも、私はとても好きだ。


咲いたまま淡く色褪せ枯れていく美しさや、枯れたままの姿で冬を迎えるのも、セミの脱け殻のように、ひとつの記憶を刻む自然のアルバムのしおりだ。




人工的に茎をばっさり切られたアジサイの、まっすぐに広がる茎も好きだ。


春になると、針金のようなその味気ない茎に、小さな鮮やかな葉が芽生え、やがて大きく大きくなっていく。


若いみどりのガクがやがて色づいて、また華やかな季節を迎えるのだ。





今は華の終わり頃。

その季節に終わりを迎えようとしている。


最後のアジサイを確かめに、友達と寺を訪ねる。




帰りつく家路の線路沿いにも溢れるほどのアジサイ。



ありふれているのに、特別な、そんな文章が書けたならいいな。