すばらしかったです | 作家 坂井あおのブログ

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小説・シナリオ(ドラマ、映画、CM)・写真詩集作家、坂井あおの日々浮かんでは記憶の海に消えゆく思いを気ままに綴るブログです。



先日、日テレの河野プさんから教えて頂いた本なんですけど、

あまりにも、すごくて、参ってます。



いとうせいこう著「想像ラジオ」



すごいです。

この時代のさまざまな思いというか、

私が消化できなかったもやもやが形になっている。

しかもひろく。ふかく。響く。




私は木皿泉さんの書いた舞台「すうねるところ」を

神戸まで見に言ったんですが、

あれは神戸で見たことでよかったと思っているんですが

木皿さんが、「東京ではまだ完成していなかったから、

っちの方がよかったよ」と言ったのもあるんですけど)、

神戸で見たことで、そのひろくて、ふかくて、響く、

もやもやというか、ざわざわを感じ取れたんです。



どちらも素晴らしい作品です。



でも、同時に、すごい悔しい。




私ごときがこのような素晴らしい方々の作品に

悔しがるなんておこがましいのですが、

でも、私が小説家にたりたいと思った19歳のあの日から、

一貫して書きたいことがそこには見事に表現されていた。



私の場合は、大きな出来事が背景と言うわけではありませんが、

ただ、この世界とつながった要るというか、同時に存在するというか、

そういうある場所について書こうと、

その頃から、今も、ずっと思っています。



かなり具体的に。

そして、1、2度は書き上げたけど、

なんだか自分の力不足なのか、魂不足なのか、

描ききれずでいますが、ぜったいいつか書きます。

必ず。



「想像ラジオ」も「すうねるところ」も

私にその決意の背中を押してくれました。

個人的に感謝したい気持ちです。

(感動したり、嫉妬したり、感謝したり・・・勝手ですね)。



人とチンパンジーは小さい頃はほとんど変わりないといいますが、

3歳くらいからその差がでてくるそうです。

それは相手の気持ちや感情に「共感する」ことだそうで、

それで、「相手が悲しむから」とか、「痛いから」という理由で、

暴力をやめたり、人のために自分が行動をしはじめるのが

人間なのだそうです。そこが差です。

(でも、チンパンジーにも家族を思う強い気持ちはあるんですけどね)。



でも、人は、特に顕著に人に「共鳴する力」があると思うし、

私は何よりそれを信じているから、脚本や小説を書くのだと思います。



特に「風鈴の音」とか「遠くの花火の音」とか

そんな言葉でも深いところで繋がれる人々が好きです。



なんて、のんきにブログを書いている場合じゃないのです。

仕事しなきゃ。ありがたいことです。月曜の朝締切。

その後、自分の小説の編集も出さなきゃ。

木皿さんの小説も届いたし。

しかもなぜか2冊も(1冊注文したつもりがなぜか2冊。まあ、いいけど)

幸せです。