呉下の凡愚の住処 -117ページ目

呉下の凡愚の住処

春秋戦国の楚国、三国志の孫呉にすべてを捧げて生きています。
現在はあまり更新していませんが、
何も持っていなかった過去の自分が想定読者でした。
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去年百度を見回っていた日のこと、
武昌魚のとあるメニューを発明したのは魯子敬様で、
そのメニューの別名は魯公魚という……といった民間伝承を発見しました。

武昌魚はその名の通り湖北周辺で取れるお魚で、
武漢で暮らしたことのある人ならきっと目にしたことがあるはずです。
至るところで腹を割かれて道端で干されてますから……
湖北周辺で出る魚料理はほとんど武昌魚の仲間の淡水魚と思われます。
私も食べたことがありますが、川魚なので骨が多いです。

民間伝承を紹介していたのは曾慶偉さんのこちらのブログです。

留有余地--曾庆伟的博客
http://blog.sina.com.cn/zqw1958

第371篇 鲁公鱼_留有余地--曾庆伟_新浪博客
http://blog.sina.com.cn/s/blog_709f9b580102v79d.html

コメントへのアクションはされないお方なのかなーと思ってたんですが、
ご連絡したところお返事いただけたので、また堂々と載せます。

民間伝承のとこだけ切り取って訳すのも味気ないので
この記事全部訳させていただくことにしました……
なんと曾さん、武漢の人なんです。
常日頃口にしているように私の心の故郷は武漢ですし、
食に関しては非の打ち所がないほど完全に武漢舌になりました。
今でこそ蒙古タンメン中本の北極2倍やCoCo壱10辛を食べていますが、
武漢に行く前の私はカレーすら甘口でないと食べられませんでした。
そんな故郷の武漢料理のことを少しでもお伝えしたいと思い……
以下から勝手に始まります。
(以下訳文)


魯公とは、三国志の著名な人物・魯粛のことである。
魯公魚とは魯粛が発明した魚料理だ。これは一体どのような料理なのだろうか?
率直に言うと“魯公魚”とは、現在の湖北省武漢市の
レストランやホテルのメニューで見られる“酥鱗武昌魚”のことなのだ。
たとえば、武漢の『艶陽天旺角』でも“酥鱗武昌魚”が提供されている。
当然この“酥鱗武昌魚”も“魯公魚”と言い換えることができる。
この料理と魯粛の間には必ずや何らかの関係があるはずだ。
どのような関係なのかは、後ほど触れることにしよう。

記事を書くに至ったきっかけを紹介する。
このところ、『艶陽天旺角』で食事をする機会が多かった。
ある日、中国料理界の巨匠である廬永良氏が私を食事に招いてくださった。
彼は弟子である湖北の名料理人で『艶陽天旺角』の料理長の
董新州氏を、この度の料理担当としてくれた。
廬永良氏のもてなしで、身も鱗も味わえる武昌魚の料理――
“酥鱗武昌魚”をいただくことになった。

この魚料理は、黄みがかった白色で、魚は一口大に分けられており、
武昌魚の新鮮さが味わえる。鱗はサクっとしていて、酒によく合う。
身は柔らかく塩気がある。染み渡った塩味でご飯も進むというものだ。
この料理の盛り付けを見てみると、皿は小さめで、大皿料理とは言えない。
載っている魚も十数個だろう。

しかし食材選びに強いこだわりのある私は、
使われている魚が梁子湖で取れる樊口団頭魴であることに気付いた。
我々が俗に言う武昌魚のことだ。武昌魚の腹部を割き
(腹部は武昌魚の最もおいしい部位で、世間でも“鳊鱼吃边,也称鳊鱼吃‘拖’,
 就是指的这个部位”*と言われる)、
魚がまだ新鮮なうちにエラと内臓を取り除き、鱗は落とさずに角切りにする。
そして塩漬けにし、室内の風通しのよい場所で陰干しにするのだ。

“酥鱗武昌魚”は揚げ方にもコツがあると思われる。
陰干しした武昌魚を油で揚げるとき、油の温度は高すぎてもいけない。
温度が高いと鱗が焦げ付いてしまい、見た目に影響するだけでなく、
味の焦げ臭さも避けられず、食感も変わってしまうだろう。
つまりこの料理では、料理人の温度管理の腕前が試されるのである。

“酥鱗武昌魚”はここ最近生み出されたものではなく、歴史のある料理だ。
漬物にした魚を油で揚げる調理法は、江漢平原の各地や湖北省東南部の
広大な湖地区で、昔から民間に広く存在していた。
その原因は以下のようなものだろう。

三角魴、長春魴そして団頭魴。湖北人はこれらを総称して鯿魚と呼ぶが、
鯿魚は湖や水辺の多い湖北省で最も多く見られる淡水魚の一種だ。
かつては技術がなく、水から上げた淡水魚の鮮度を
長時間保つことはできなかった。
しかし生存の知恵が豊富な人民百姓は、暮らしの中で
淡水魚を塩漬けにする方法を発見した。それは鮮度の難題も解決できる上に、
調理後のおいしさにも影響を与えない調理法であったのだ。

私の以上の見解を裏付けるものとして、
湖北省赤壁市の陸水湖に旅行をしたとき、このような物語を聞いたことがある。

(その民間伝承『魯公魚』はこちら↓で……
 http://ameblo.jp/ancyon/entry-12245808399.html

我々が『艶陽天旺角』で食べられる“酥鱗武昌魚”は
廬永良氏と彼の食品開発研究団体が、湖地区の家庭料理である
塩漬け武昌魚の調理法をもとに開発した、武昌魚の一メニューだ。
私見ではあるが、調理法を簡単にし、保存や運搬をしやすくする――
たとえば真空パックで包むなどすれば、この料理は
さらに多くのレストランやホテルの宴席で振る舞われ、
宴席を豊かに彩ってくれることだろう。
そのようにすれば、今回紹介したような物語や伝統的な湖北の魚料理は
さらに深く、さらに大きな広がりを見せていくことだろう……


(終わり)
ここ、「鯿魚を食べるとは鯿魚を“つついて”食べるということだ、
この部分(腹)を指してそう言うのだ」的な直訳になるかと思うんですけど(?)、
きれいな訳がいまいち分からないのでそのままにしておきました。
センスと大胆さがないので私は絶対翻訳家にはなれません。


酥鱗武昌魚、1月に武漢に里帰りしたときに食べられるかなあと
思ったんですが、そこまでメジャーじゃないらしくてダメでした。
大人しく『艶陽天旺角』に行けばよかったんですけど……

酥鱗武昌魚

こちらが酥鱗武昌魚の画像です。
武漢の食品会社のリンク切れになっている画像を勝手に貰ってきました。
一応リンク貼っときますね。(布教)

良之隆美食速递
http://www.lzl98.com/

民間伝承は手っ取り早くそこだけ見たい人もいるだろうなあと思って
別の記事にしました。あと記事長くなりすぎたから……
これが湖北省の料理で、しかも紹介者も武漢の方で本当にうれしいです。
他の場所だといつ行くか分からないけど、武漢なら絶対行きますからね。(笑)
近々食べたいものです。