田中芳樹さんの『中国武将列伝』という本を読み終えました。
私はもともと頭が固く、入門書的なものをあまり読まない性格なのですが
周りに田中芳樹氏のファンが多いので
彼はどんな文を書かれる方なのだろうと気になり、購入。
上下巻で、田中氏の考える“中国の名将”を99人紹介されてます。
時代は春秋~清まで幅広い。
人物について語りながら、歴史の流れも説明してくださるという親切さ。
“清の人物まで紹介されている”という点が特に私の購買欲をそそりまして。
このところ、「中国史っつっても古代だけじゃダメだなあ」と
思っていたところだったので、ナイスな出会いでした。
何気なく買ったのにお釣りがくる内容。買って正解でした。
口語体で書かれており(それが肌に合わないという方もおられるでしょう)、
私としては肩の力を抜いて読めました。
紹介している武将の人選云々はお手に取って確認していただくとして……
私がとにかく共感したのは、
「日本で流行っているものだけをちやほやするな」
という一貫した主張。これを本文で再三繰り返されていたように思います。
自分が三国志大好きなのであまりデカイことは言えないんですが
確かに「三国志も楽しいけど、他の時代を知るともっと楽しめるのになあ」
とは常々思ってます。ほんとに勉強中の身ですが。
「複数の史書を照らしあわせ、なるべく多方面からひとつの事実、ひとりの人物を見るようにしたいところですね。(中略)そのていどの努力は、正史によって恩恵をこうむっている後世の人間にとって、当然のことだと思いますよ。」
という言葉が本文にありまして……
「私が普段からモヤモヤ抱いていた感情はこれだ」
と、自分が言いたいことを代弁していただいた気持ちでした。
もちろん、もちろんこの本の主題である武将紹介も非常にありがたいのです。
南北朝の流れなど、自分はまったく知らなかったので
額を地に付けて本に対する感謝の言葉を述べたい気持ちなのですが……
「ひとつのことに凝り固まっていてはダメだな」とつよく再認識できたことが
この本を読んでの何よりも大きな収穫でした。
たとえば史書でも、三国時代を研究したいからといって
三国時代前後50年なんかに書かれた史書を読むだけではなく、
もっと幅広い時代についても視野を広げるべきではないかなあと。
私が今考えてるのは、“時代”にこだわるのではなく“地域”にこだわること。
まあ自分の場合は江東・江南です(笑)。
というか、江東・江南地方だからこそ通用するかもな考え方かもしれませんが……
それに加えてありがたかったのが、
「○○という人物を主人公にした『●●』という小説がある」
など、物語についての紹介をしてくださってることでした。
やはり日本では三国志および史記以外の時代ってヒッソリしているので、
他の時代の小説は出版事情すらなかなか分からない。
どうしても情報が入ってこないんですよね。
宋(北朝・南朝)のものが多いらしく、めちゃくちゃ気になりました。
まあ頭が固いので小説そのものを読むのは後のことになりそうですが、
宋(北朝・南朝)についてはもっとモリモリ探っていきたいです。
すごくためになる本でした。
この本できっかけが作られたので、今後は近世以降も見ていきたいです。
田中芳樹さん、本当にありがとうございました。
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