愛の不時着 姉的考察 | イトオカシ

イトオカシ

姉、時々、妹。
姉妹のフィルターを通しての記録

(2005年1月~2019年8月まで、ヤプログにて。
2019年8月~アメブロにて。)

姉です。

「愛の不時着」視聴完了。


2年前の8月に初めての韓ドラ「運命のように君を愛してる」を見て、それからというもの、俳優・チャンヒョクを追うだけの私なので、妹から勧められた数本のドラマは見たものの、現時点での韓ドラ視聴数15本(大半はチャンヒョク作品)。
そんな韓ドラウォッチャーとしてはひよっこの私。

ステイホーム期間中に、やたら話題になっていた「愛の不時着」(確か、朝日新聞にも3回は取り上げられていた)も、気になっていたものの、北朝鮮への印象を良くしたいか、はたまた、悪くしたいのか、とにかく何かしらの世論操作がなされ、人気を博しているだけでは?と斜めからみていた私。
すみません、謝ります。
世の中、マジョリティが全てだとは思わないけれど、世界中のあらゆる世代に評価される作品は、やっぱり私の心にも響いたわ。

すっかりのめりこんでしまった自分に、現実の世界と虚構の世界との38度線を引くために、感想なのか、考察なのかよく分からないものを記録。

ネタバレ含むため、読みたくない方はここでPlease stop!

 

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現時点では、ネットフリックスからの配信のみで、全16話(1話が75分~90分と長い)。
書きたいことは山のようにあるけれど、時間には限りがあるため、何が良かったのかをいくつかのポイントに絞って記す。
 
1)主役の2人のキャラクター設定
ヒョンビンとソン・イェジンという、まぁ美しい2人が主役の時点で一見の価値あり。しつこいようだけど、私にとって、お顔はチャンヒョク様の方が好み。
それでも、リ・ジョンヒョクという役柄は、ヒョンビンでないといけないし、ヒョンビンはリ・ジョンヒョクでなければならないと思う。
 
最終話を視聴完了してから数時間、私はヒョンビンのことが好きになってしまったのか、はたまた、役柄であるリ・ジョンヒョクのことが好きなのかを考え続けたけど(暇か)、ヒョンビンがリ・ジョンヒョクである点が好きなのだと思う(自分でも理解するのが難しい)。
 
鍛え抜かれた体を持ち、類まれなる身体能力でヒロイン(ユン・セリ)を守ることのできるヒーロー的設定、となれば、あーはいはい、となりそうなものの、俺様感は一切なくて。
ただ、愛する人の喜ぶ顔を見たいという気持ち一心で行動するのみ。雨が降れば、自分は半分傘からはみ出してでもセリを雨から避け、自分のことは忘れてもいいから、とにかく孤独になるな幸せに生きろと伝えたり。非現実な世界のお話だけど、日常の中で人を愛するってこういう事だよな、と共感するシーンがたくさん。

もちろん、ありえへんやろという偶然の連続はお決まりだし、舞台が北朝鮮なだけあって、身体を張ってセリを守ると言うシーンもたくさんあるのだけど、それはフィクションなので。
自分の想いは二の次、愛するセリの幸せだけを願って生きるジョンヒョクに何度涙したか。
 
ソン・イェジン演じるユン・セリについては、経済的な成功を収める事のできるスマートさ、財閥特有の悲しい環境で成長してきたことにより培われた芯の強さ、そして美貌。
こうなってくると、嫌みな女性になりそうなものの、卓越したコミュニケーション力を持たせる事により、ジョンヒョクの部下である4人の隊員や、北朝鮮のアジュンマ達と心を通わせ、助け助けられという関係が深まっていく。

一女性視聴者として見ていても、ジョンヒョクとの恋が成就することを望む以外の選択肢がない(すなわち、嫉妬という感情が出てこない)魅力的なキャラクターに仕上げられている。

女性脚本家ならではのジェンダー観なのだろう。

フェミニストである父親と夫を持つ私にとって、ドラマであろうが、男性優位すぎる設定には抵抗があるため、セリのキャラ設定が受け入れやすいものだったことも、沼にハマれた一因かと考察。

 2)脇役のキャラクター掘り下げ度
脇役が脇役でないところが韓ドラの面白さの1つだと思っているけれど、不時着はその最たるモノだと思う。

誰1人として無駄な役どころがないだけでなく、1人1人のキャラクターが作り込まれていて素晴らしい。彼がいるからこそ話がスムーズに進むし、彼女がいるからこそ話の奥行きが深まる、というように、相乗効果感が半端ない。
 
印象的なキャラクターとして、耳野郎と呼ばれる盗聴役が出てくるのだけど、なんとまぁ北朝鮮らしい(知らないけど)悲しく辛いポジションやな・・・絶対この人殺されるやろ・・・と想像していた私のはるか頭上を超える役どころへの転化。嬉しい誤算。

ジョンヒョクの部下4人衆も、ほんとに良かった。大好き。最後の最後に、セリを守るために敵役と戦うところ、感動。
それまであなた達、そんな強いところなんて微塵も出さなかったやん。強くてかっこいいところ、全部ジョンヒョクが持っていってたやん。なのに、何これ・・・(感涙)めっちゃ強くてカッコイイやん・・・って、もはや私も劇中にいる1人のアジュンマ。

もう1組のカップル、ク・スンジュンとダンちゃんの悲恋は救いがなくて辛かったな・・・・。めっちゃ嫌な2人だと思ってたのに、愛さずにはいられないキャラへ少しずつ変化していって。
2人には(特にスンジュンには)もう少し幸せをプレゼントして欲しかったなという点が私の唯一のダメ出しかも。
 

ダンのお母さんも、最初は強烈な印象しかなくて、うわーやっぱこういうキャラも出てくるか、と思っていたら、これまた最後には、娘を愛する母親として最高・・・と涙・涙。
 
妹的には「この人居なかったら話始まらん」という、リ・ジョンヒョクのお父さんは、北朝鮮No.4(妹調べ)という物凄い権力者。
ジョンヒョクの全ては、お父さんの庇護の下・・・って言ってしまうと話が終わってしまうんだけど、事実そう。パパいなけりゃ、ジョンヒョク何度も死んでるよ・・・・。
でも、結局は北朝鮮ってそういう場所なんだろうし、そりゃ仕方ないなという感じ。

 3)伏線の散りばめ方、そして回収方法
伏線の散りばめと回収が全編を通じて緻密に計算されており、爽快。散りばめられまくると、何が回収されたのか回収されていないのか分からないまま進みそうなものの、映像やセリフが効果的なため、視聴者にはっきりと分かる!ここがこう繋がってたのか、と分かる気持ちよさと言ったらない。


また、苦しいシーンが続くと、絶妙なタイミングで、4人衆やアジュンマ達のかけあいが挿入され、ものすごく計算されて作られているんだろうなと思わせる。
 

本編終了後のエピローグみないなものも非常に効果的だった。
映画やアニメによくあるように、本編後に数日後や数年後のエピソードが挿入されるという「後日談披露」パターンではなく、不時着においては、本編で視聴者が見せられていなかった部分、すなわち、「少し前の出来事」を、あえて最後に持ってきて「実はこうだったんだよ」と教えてくれる数分間が挿入される。
本編から一部分を抜いておいて、思わぬタイミングで開示するという技巧的なものなんだろうけど、時系列に見せられるよりも、これがまた効いてくるのなんの。
セリを守るために、あえて別行動して、離れたところから見守るための準備をしているジョンヒョクの様子が明かされた6話のエピローグがすごく好きだった。視聴者の「そうそうこれ見たかったの!」という気持ちに、予め応えてくれる感が満足度を高める。

 4)風景美
「トッケビ」観た後は、カナダのケベックに行きたくなったように、不時着見た今は、スイスに行きたくて仕方ない。
夫(ただいま11話視聴中)も、次はスイスか?と口走っている。「運命のように君を愛してる」にドはまりし、チェジュ島に行ってしまった私たちなので、いつかほんとにスイスに行ったらびっくりして下さい。

話が進むにつれ、スイスでの出来事が詳らかになり、そんなウンミョンさすがにないやろ・・・と思いつつも、美しすぎるスイスの風景が潤滑油となり、私の心を虚構の世界へと誘ってくれた。

結末は、この2人の設定で考えられる限り一番幸せな最後となったけど、現実と虚構の38度線踏み越えちゃってる私は、ヒョンビンとソン・イェジンが結婚してほしくて仕方がない(余計なお世話)。
 
韓ドラなんて興味ない、単なるラブストーリーでしょ、と侮るなかれ、非常に論理的に構成されている秀逸な作品だということを最後に記し、とりあえず記録終了。