日曜日はネクタイを締めてお肉屋さんのパン売場のレジに立ち、珈琲豆の売り込みをする日です。
私が分けてもらっている棚のスペースは幅60センチほどではありますが、スーパーでいうならばちょうどガムや乾電池が置いてあるレジそばの位置ですから、レジを手伝ってパンを包装しながら上手に声をかければ、お客さんにもう一品、100g入りの珈琲豆を買ってもいいかな、と思ってもらうのはあながち不可能という訳でもありません。
この売場がオープンしてふた月半になろうとしていますが、パン屋の売り子のおねえさんとの呼吸もお互いわかってきて、袋詰め・・・会計・・・、そしてココ! 合計何円になります の直前の一瞬の間 が私の勝負のタイミングです。
さて、このドイツハム・ソーセージの工場と売店の経営者である社長は養豚業を営むおヒトで、現場を仕切る店長はドイツで食肉加工を学んできた息子さんです。
お店は郊外の国道沿いの眺望の良い高台の、ヨーロッパの農家風の洒落た建物です。
そして、そのお店の駐車場のすぐそばにある小さな小屋に、ハナちゃんは住んでいます。
同棲相手でもあった恋人を失って久しい現在の私にとって、ハナちゃんは最も近しい女性という事になるでしょう。
このガソリン価格高騰の昨今、私が毎週片道1時間かけてこのお店に通っているのは、彼女に会えるから というのが大きな理由となっています。
彼女も最近では私のことを憎からず想ってくれているようで、前日のパンの耳などという気のきかない手土産しか用意できない不甲斐ない私の訪問にも、大喜びで小屋を飛び出して出迎えてくれます。
ところで、彼女の 「 ハナちゃん 」 という名前、名付け親は誰なのでしょうね?
団塊世代っぽい社長が付けたとすると 「 花ちゃん 」 ?
ドイツ帰りの店長が付けたとすると 「 Hannne 」 というドイツ女性の名前なのかなあ?
ハナちゃんはミニブタという愛玩用の品種で食肉用ではないそうですから、私はそれほど別離の心配をせずに済んでなによりです。