#154 ボンベイ | かふぇ・あんちょび

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このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。

 電車を降り、航空会社のオフィスへ行くというオーストリア人と別れて街へと出る。



 歩き出したボンベイは、大都会であった。



 最初の街の印象は、


 んん、なんか上海に似ているような気がする


というようなものであったが、いやいや、そんなもんじゃなかった。


 確かにヨーロッパ風の時代モノの建物の感じとかが似ていなくもないのだが、上海のそれはあくまで 「租界」 という限られた地区のものであったのに対して、こちらは本格的な植民地、大英帝国インド支配の要を担った都市ボンベイなのである。

西洋建築の規模も数も、上海の外灘とはくらべものにならないスケールだ。


 そのレトロでありハイカラでもある街並みに、アンバサダーという名のこれまた年代モノの車や2階建てバスが走りまわり、そして肌の浅黒いインド人たちが生き生きと街の新しい歴史を刻んでいる。


 うわー、すっげえ…、インド来ちゃったよ。


 ・・・既にインド入国から3週間以上が過ぎているのに、あらためて当たり前の事に胸を躍らせて、まあ、おめでたいコトだが、この街の雰囲気は僕を魅了した。



 僕の持っていたボンベイの安宿情報は とにかくサルベーション・アーミーに行け というものであったので、街角の煙草売りのおっさんからバラ売りの煙草を一本買っては道を尋ねつつようやくたどりついてみると、満員でベッドが空いていなかった。


 あーあ。


 夜行バスを乗り継いで2晩ろくに寝ておらず、もうフラフラでこれから宿探しなどやる気がない。

 サルベーション・アーミーの真向かいにあるきったない宿に入り、ねずみが床を元気に走りまわる音を聞きながらグウグウ眠った。


 旅を始めて半年、まあとにかくこれで、東シナ海から野を越え山を越え砂漠を越えて、アラビア海にたどり着いた訳である。