#151 聖地ゴアへ | かふぇ・あんちょび

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このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。

 ラジャスタンの城塞都市をひとつひとつ訪ねてきて、西の果てのここジャイサルメールでとうとう行き止まりであった。

ここからパキスタンへと抜ける国境は旅行者には開かれておらず、僕は方向を転じなければならないのだが、さて・・・。


 砂漠のキャメルサファリから町に戻って、2日ほどぶらぶらして過ごしたあと、僕はラジャスタン州の南に位置するグジャラート州アーメダバード行きのバスチケットを買った。

ここは確かインド独立の父、マハトマ・ガンジーの故郷だと聞いたような気もするが間違っていたかもしれない。


 目指すははるか南、アラビア海に面したかつてのヒッピーの聖地、ゴアである。

ドイツ人ふたり組、ピーターとガブリエラとあいまいな再会の約束も交わしてあったし、なにより海が見たくなったのだ。

旅の始まりの長崎-上海の船旅以来、ずっと大陸を旅してきて海を見ていないのである。

中国大陸、モンゴルの草原、シルクロード、カラコルム山脈、そしてインドと来て、アラビア海を眺めるというのはなかなかいいアイデアのように思えた。


 そして、ゴアである。

出会った旅人たちの多くから、このかつての東インド会社の中継地であった町の怪しげな噂はいろいろと耳にしているのであった。

クリスマスを控えたあの頃、西洋人バックパッカー達の多くは口を開けばこの町の名を挙げ、皆こぞってゴアを目指し移動していたように思えた。


 インド地図を広げてみると、この砂漠の町ジャイサルメールからゴアへの旅路はいかにも遠かったのであるが。