#122 印パ国境越え | かふぇ・あんちょび

かふぇ・あんちょび

このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。

 アジアホテルを早朝にチェックアウトし、駅前から国境の町ワガへと向かうミニバスに乗った。

僕の隣席は、お金持ちでインテリ風のパキスタン紳士であった。


 ラホールはどうだ?


と彼は僕に質問してくるのだが、あいにく1泊しただけでろくに街を見物していない。


 そうですねえ、exciting な街だと思います


と答えておくと、


 わはは! そうだろう 汚くてうるさくて、ゴチャゴチャしてるもんな


… どうやら僕の言外の感想はお見通しのようだ。

紳士は僕のバス代をおごってくれた。


 ボーダーへ到着。

 そこらへんにいたおっさんが、チェンジマネー、チェンジマネー、とパキスタンルピーとインドルピーの両替を持ちかけてくるので、残っていた小銭をインドの通貨に交換してもらう。

レートはほとんど同じだったように思う。

 パキスタン側の出国手続きを済ませ、花と緑の綺麗な道をテクテク結構な距離を歩いてインド側のイミグレーションへと向かう。

 陸路での国境越えの時いつも不思議に思うのだが、この時点で僕はパキスタンを出国しているがインドには未だ入国していない。

そして今テクテク歩いている距離は1キロはゆうにあるのである。

では今僕が歩いているここはどこなんだろう? パキスタン? インド? それとも地図に引いてある国境線のまさに線上なのか・・・?


 そして、インド側の入国審査が終わり、いよいよ不思議の国インドへと入国。

ここで景色はガラリと、まさに音をたてるように一変した。


 サリーからでっぷりとしたわき腹を見せるインド女性、道路に悠々と寝そべる聖なる動物=牛たち。


 イスラムの国パキスタンから来た僕には、そこは色に満ち溢れ、女性がその彫りの深い顔立ちを惜しげもなくさらす開放的で素敵な場所に思えた。


 いやっほう! 次の冒険が始まったぞ!


 国境から目指すインドの最初の町の名はアムリトサル。

シーク教徒の聖地らしい。

シーク教なる宗教がいかなるものか全然知らないのだが、僕の知っている重要な情報は、この太っ腹のシークの神様は、その総本山ゴールデン・テンプルに巡礼にやってきた旅人たちを、たとえそれが異教徒の外国人であろうが無料で宿泊所に泊めてくれるらしい、というまことにありがたい話であった。

とりあえずそこからインドの旅を始めればいい。


 バックパッカーたちがいささか大袈裟に語る旅の与太話のなかに、こういう文句がある。


 インドへは、選ばれし旅人のみが導かれてやって来る


 その、インドへ来てしまった訳である。