#19 揚州 | かふぇ・あんちょび

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このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。

 中国では、通算すると9ヶ月くらい旅をしている。
旅行で行くのにお勧めの場所は? と訊かれれば、僕は別の町の名を挙げることであろう。
しかし、一番好きなのはきっとこの揚州の町だ。

 はっきり言って、この町には観るべきものは何もなかったのだが。
 
 上海を離れた僕は、到着したバスターミナル前で声をかけてきたバイクタクシーのオヤジに連れられ、おそらくは町一番だと思われる揚州大酒店というホテルにチェックインした。

シングル1泊180元(2000円)。

これは、オーストラリアを含める僕のすべての旅における宿泊費の中で最高の金額である。

ちょっと垢抜けない内装の、それでも超豪華な部屋で、僕は久々に一人きりの贅沢を味わった。
また、揚州の町は上海とは大いに異なり、いかにも地方都市といったのどかさがあり、この点も僕を満足させた。

 大都会上海と、バックパッカーのあふれる浦江飯店の大部屋で幕を開けた僕の旅の日々であったが、きっと僕はそれらの経験に酔いしれながらも、自然と肩には力が入り疲れてもいたのだと思う。

 公園や路地裏を散策し、最初の日にふらりと入った飯屋に通い、そこの子供たちと新聞紙でカブトを折ったり、例のあひるの絵本を朗読したりして、僕は揚州での短い滞在を実に満喫した。

 そして僕は次の目的地、上海のディスコで出会ったセイラの住む常州へと向かうのだが、そのバスの車中でまたしても実に面白い出会いがあり、僕は約半月後ここ揚州へと戻ってくることになる。
それこそが僕が揚州の町を愛する理由にもなるのだが…。