#8 胎動する大都市 | かふぇ・あんちょび

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このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。

 寝場所も決まり、上海での毎日が始まった。
別に観光名所に興味がある訳ではない。
そして実のところ、中国では新興の都市である上海には、河岸に並ぶ租界時代の西洋風の建物の他、ロクな歴史的観光地はなかった。
そこはむしろ、今まさに歴史を刻みゆく都市であった。
毎日僕はその街で、筆談用のノートと鉛筆を手に、ひたすら通りをぶらついたのである。
当時の上海には、高度成長のものすごいパワーが感じられた。
浦東地区と呼ばれる黄浦江の東岸には、夥しい数の高層ビルが建設中であり、上海のメインストリート南京路には、一日中人の波が絶えることはなかった。
 人が旅の始めに最初におとずれる外国の街は、その人間のその後の旅、そしてその価値観に大きな影響を与えると僕は思う。
それは僕にとってこの90年代半ばの変わりゆく上海の街であり、人々であった。
田舎育ちの僕はそのエネルギッシュな異国の大都会に、文字どおり魅了された。
 これから、その毎日の記録を記してみよう。