別れる男に花の名前を... | みたか 鷹場そば

みたか 鷹場そば

蕎麦鑑定士1級&野菜ソムリエ&唎酒師のいる            石臼で挽きたて打ちたて茹でたての蕎麦屋          
純水仕込つゆ みたか野菜と卵                

川端康成氏は

「別れる男に花の名前を一つ教えておきなさい。

 花は毎年必ず咲きますから」と語った。


この一節は、川端康成の掌編小説集

【掌の小説】の一遍、『化粧の天使達』

その中の「花」という小題の一節。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

『花』

 ここへ来る汽車の窓に、曼珠沙華が一ぱい咲いていたわ。
 あら曼珠沙華をごぞんじないの? あすこのあの花よ。
 葉が枯れてから、花茎が生えるのよ。
 別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。
 花は毎年必ず咲きます。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「トンネルを抜けれるとそこは雪国だった」
川端康成の小説「雪国」の名文句だ。
越後湯沢の名高いホテル「高半」は川端康成氏が投宿して、

芸者駒子を左手で抱きながら右手で「雪国」を執筆したことで知られている。


男のほうから切り出したか、女のほうから切り出したかは問わないが、

「別れる男に花の名前を一つ教えておきなさい」

と川畑康成氏はおっしゃる。
その花は毎年季節を忘れずに咲く。
その花を見て男は別れた女のことを思い出し、

涙を流すかもしれない。


釣り人は釣り逃がした魚を

「あの時釣り逃がした魚はこんなにも大きかった」

と手で指し示しながら自慢げに話す。
同じように別れた女を

「美しく、心優しい女だった」とことあるごとに話すだろう。
でも、次に付き合う女にそのことを言ってはならない。

   ザルそばそば あなたのそばに.com ザルそばそば