● 触る・撫でるの実践例
以前の記事で現代人は身体の感覚が鈍りがちであり、鈍った感覚をそのままにすると身体に不調が出やすく、かつ、不調に気付きにくい負のスパイラルになりやすいので、身体感覚を良くするために全身を触ったり撫でたりしましょうという事をお話しました。
今回は、その「触る・撫でる」の効能について、私自身が実践して非常に良いと感じた出来事がありましたので、共有しようと思います。
今回紹介する事例は膝の痛みでした。
私は特に空手や運動で怪我をした経験がある訳ではないのですが、時々右膝が痛む事があります。
日常的に癖として踏ん張る時に右足を使いがちというような事も確かにありますが、そこまで極端に右足ばかり使う訳でも無いので、恐らくコントラバスの演奏時に右足に楽器の重さが掛かっている時が多いのだと思います。
11月は本番も多かったので、他の月以上に右膝に負担がかかっていたのだと思います。
痛みがあるとはいえ、日常に差し障りがある程でも無いので病院に行こうという気持ちにもあまりならず、かといって放置しておくのもあれなので、とりあえず膝周辺をひたすら撫でてみたのです。
そうすると面白いもので、撫でる前はぼんやりと「右膝」という比較的広い範囲でしか捉えていなかったのですが、撫でてみるとどこが痛いのか詳細に分かるようになりました。
痛みを感じる部位は正確には太ももの内側から膝に繋がる部位でした。
場所としてはやはりコントラバスの演奏時に楽器を支えるのに使っている部位です。
しかし興味深かったのは、痛みを発している部位を特定した後、今度はその周辺を撫でる様にすると、痛みが楽器を支える一点ではなく太もも内側のラインに沿って発生している事が分かりました。
要するに楽器を支えている一点に物理的なダメージが入っているというよりは、楽器を支えるのに使う筋肉が筋肉痛を起こしているようなのです。
太ももの内側から膝に繋がる部位が痛むというのは確かなものの、それでも違和感程度なのでもっと弱い痛みを発している部位は意識が行っていなかったという事ですね。
触って撫でるという事によって、感覚が抜け落ちていた部分まで意識が通って原因の特定が出来ました。
さらに言えば、触って撫でた事によって膝周辺の感度が上がり、痛みを避けて重心が外側を通っている事も分かりました。
今の所痛みが強いわけではないので、暫くは使う筋肉を意識しながら様子見だなという感じですね。
こういった感度を上げるのに大事な「触る・撫でる」のコツとして大事なのは強い圧力をかけないという事です。
強い力で周辺部位を圧迫したりこすったりすると、今回の様な微弱な痛みなどはかき消されてしまいます。
特に筋肉痛系の痛みだとマッサージしようとして圧力を掛けがちですが、基本はやさしく行ないましょう。
優しく撫でて、まずは痛む部位を正確に理解するだけで、その後病院で見てもらうにしても話がスムーズに運ぶ様になります。
違和感を感じたら周辺を撫でる。
これでいきましょう。