今回のお話はビジネスとは違った切り口(ビジネスにも簡単に繋げられますが)でお金の価値の相対性について書いていきたいと思います。
お金の価値の相対性と言うと、何やら為替だのFXのレバレッジだの、又は昭和と現在で物価が全然違うだのそういった事を思い浮かべやすいかと思いますが、今回はそこまで難しくありません。
ざっくりと言うと同じ時代、同じ国の買い物でもお金を出すカテゴリによって値段の高い安いの感覚が変わるというお話です。
この記事においては私の身近な例を挙げてみますが、読者の皆様の趣味に使うお金に当てはめながら考えてみると分かり易いと思われます。
20万円
まずこの金額をフラットにどう感じるでしょうか?
このブログでかつて記事にしたディレッタントの様な立ち位置でない限り、そこそこな金額に感じるのではないでしょうか?
まあ、ここで20万円という数字が出てきたのは大きな意味はありませんが、この金額も読んだ人の価値基準で価値が変わる筈です。
とはいえ個人の主観は他と比べにくいので相対的だという認識は持ちづらいかもしれません。
という訳で私の趣味を例にこの金額を考えてみようと思います。
まず、この20万円という金額が浮かんだきっかけなのですが、それは私が所属する空手で流れたある大きな情報によります。
それは
師範が刀鍛冶と協力して自分で釵を打つらしい
という情報です。
これには仲間内でも色めきだって喜びの声が上がりましたし、私も凄く欲しいと感じました。
これには実は理由があって、今のご時世柄もあって当たり前と言えば当たり前ですが、ちゃんと打ち合える釵は流通していないんです。
この辺りは話始めると長くなるので別の記事に分ける事にしますが、とりあえずは量産品は打ち合い稽古に向かないという事だけ覚えておいてもらえれば大丈夫です。
で、話を戻しますが、この「師範が直々に釵を作る」という話を聞いた時にふと頭に過ったのは「いつ頃手に入れられるんだろう」という事と「値段はいくらだろう」事でした。
前者に関してはやはり手作りで時間が掛かるだろうという事ですし、後者は本当に相場が分からないなと感じたのです。
一応、比較的入手が容易な演武用の釵は1万5千円程度、別で私が調べた鍛造の職人さんが作る釵は5万円程でした。
しかし、今回作られるのは、実際に釵を振るう空手家が自らの良いと思う物を作る、しかもノウハウは実際の刀鍛冶から教わる、となると付加価値分が計り知れないのです。
そして、冒頭の20万円、これが私が現状の情報で想定した師範が作る釵の妥当な値段だったという事なのです。
因みに妥当だと思うからと言ってポンと買えるかは別問題ですよ(笑)
読者の皆様には「付加価値乗せ過ぎじゃない?」と思われるかもしれませんが、実は私の見立てがぶっ壊れているのにも別の理由があるからなんですね。
それは私がクラシック音楽をやっている為です。
20万円
この金額は、私が事前に調べた鍛造の釵5万円からすると4倍も価値を挙げた事になりますが、仮にコントラバス本体を買おうと思うと新品では廉価版すら買えない値段なんですよね。
因みに弓であれば、20万円あれば良いものが買えますが、それでも一級品とは言えない位の金額です。
因みに私の持っている楽器の本体は70万円程度ですが、正直安く買った部類に入ります。
お気づきでしょうか。
空手とクラシック音楽でジャンルが変わった段階で20万円で買える物の価値が大きく変わるんですね。
まあ、この辺りは一概に比べるのも難しい話でもあります。
原材料で言えば、クラシックの弦楽器に使う木材自体が希少になりつつあるため、鉄とどちらが高いのかという様な話にもなってきますし、実用性で考えても、同じ材質であったとて、作り手の技術による使い心地のクオリティは大きく変わり、付加価値とはそこで差が出る物ですし、物理的指標が無い事も多々あります。
コントラバスの事で考えたら一流の職人が作る一流の物は高いに決まっている、その上で一般論でも良いとされる鍛造の釵の四倍は割と妥当と感じるがそれでもコントラバスの値段を絶対値の基準とすると相当安い。
今回は私の趣味を基準にした話でしたが、皆様も実感が湧く基準を持つと値段の高い安いの感覚は意外と不確かなものだなという事が分かると思います。
こういう視点を持っていると、世の中金額の基準がバグっていそうなものはたくさんあると思います。
視点の切り替えにも役立つのでこういった頭の体操はしてみるといいかもですね。
趣味を複数持ち、お金の面で比べてみましょう。