以前書いた記事では別の団体で同じ曲を弾く機会があったが、譜面の違いが大きく愕然としたという話をしました。
今回はそういったハード面が違うという事とは違った学びに関してのお話です。
一つ大きな学びとしては、きっとこれは音楽に限った話ではないのですが、
一見同じことの繰り返しに見えても学ぶべきことはたくさん出てくる
という事です。
この話の前提条件として、私の様なアマチュアオーケストラで演奏する人間は、経験を積み重ねていくとやった事がある曲が増えていきますが、逆にやった事がある曲だと油断して過去の経験則に頼りがちという問題点が出てきやすいのです。
練習が出来るのも主に週二回時間が取れるかどうか、更にやった事が無い曲があるならそちらを優先的にさらう(音を並べられるようにする)必要があるので、どうしても過去の遺産に頼りがちなのです。
しかし、そうすると、確かに指は回りますが、勢いで弾いているため実際に出ている指示にそぐわない表現になってしまったりすることもよくあるのです。
前回の記事に書いたような、譜面そのものが大きく違うという場合も、手癖で弾いてしまって対応出来なかったりという事は良くあるので、この状態は避けるべきなのですが、なかなか分かっていても上手く行かない事はよくあります。
それを私自身強く実感したのが、先の二団体で同じ曲を、それも短いスパンで行なうという経験でした。
具体的な例はたくさんありますが、特に顕著に感じた部分を一つ紹介しましょう。
まずはこの曲をお聴きください。
この曲の22分30秒あたり、激しめの急き立てるような曲調から軽快なテンポに切り替わる部分があります。
今まで私はこの部分のテンポ感が掴めず、ただ早く弾いて転ぶ(実際のテンポを追い抜かしたり指がもつれる)という事がよくありました。
結構同じようにここがよく分からなくなって当て感で弾くという人は多いです。
そしてそうなってしまう要因として、先程の急き立てる部分から切り替わった時に勢いで弾ききってしまって拍感が失われてしまうという事が起きています。
それを防ぐ為に、片方の団体では必要以上にテンポを上げ過ぎない、かつ、切り替わりの後に拍感を取り戻しやすいように一瞬溜めの様な間を作るという様な工夫を指揮者の方がされていたのです。
それを見て、私は上記にあった転んでしまう部分の要因を理解する事が出来たのです。
そうすると不思議なもので、そういった溜めの無い様な振り方でも戻り所は掴めるようになるので苦手が解消されたんですね。
一応念の為断っておきますが、溜めの有る無しどちらが正しい訳ではありません。
曲の表現を考えた時に、6/8拍子というリズムを強調するのもあり、もっと長いフレーズ感でさらっと流れている様に作るのもまたあり、という話であって、どちらが良いかは聴いた人の好みによるものなのです。
話を戻しますが、今回例に挙げた曲は特にここ最近の演奏頻度が高く、昨年も演奏した事がありますが、ごく最近のこの経験で一気に見える景色が変わりました。
勿論、こういった気付きは自力でスコアと向き合いながら見つけ出せる人も居ますが、私の様にそれが出来ていなかったとしても、何かの拍子にふと学び取る事もあるのです。
一回やった事だけどまだ学びはある。
この認識が大事です。
