今回は「やはり無意識の力は偉大」という事が実感できたエピソードがあったので、共有したいと思います。 

 

 先日の事です。 

 

 その日は中々に予定がタイトに詰まっていて、午前中に空手の自主稽古会、午後から夜にオーケストラのリハーサル、という一日でした。 

 

 一応自主稽古は早めに切り上げましたし、オーケストラの練習も午後一ではなかったのですが、距離が遠い上に日差しが強い事もあって、相当体力を消耗しました。 

 

 昔はオーケストラだけとはいえ、3コマほぼ間なく埋まる事もザラだったので、正直予定だけ見るとそれほどでもない様に感じたんですが…まあ自主稽古では慣れないライトスパーもありましたし、とにかく物凄い疲れがあったんです。 

 

 流石にオーケストラの練習開始時はまだいつもの感覚で弾いていましたが、段々と疲弊していく感覚が強くありました。 

 

 そして、最後に演奏会の曲を全て通して弾くことになり、普通は休憩が入る所でも練習会場の時間の関係で休憩を入れられずに演奏した結果、疲れが溜まってくるにつれて、思考や身体の感覚に変化があらわれてきたんですよね。 

 

 まず第一に、演奏中のタイミング取りの精度が劇的に上がったのです。 

 

 曲中に所々タイミングが取りづらいというか、間が伸び縮みする箇所があって、これまでの練習ではなかなか入りが合わないという問題があったのですが、疲れがピークに達しきった辺りで何故か完璧に入れる様になったんですよね。 

 

 この現象についての仮説としては、今までの練習の時は間が伸び縮みする場面で、頭で「どれくらい遅くなってるのか」という事を考えたり「今入っていいのか?」と躊躇してしまっていたのですが、疲れ切って余計な思考力が無くなった結果、逆に無意識が捉えている感覚で一番自然なタイミングしか見えなくなっていたのではないかと思います。 

 

 躊躇する気力もありませんでしたね(笑) 

 

 そして次に楽器の鳴りが格段に良くなりました。 

 

 以前の記事に書いたように楽器の鳴りには少し悩みがあったのですが、その時は上手く弾けていた時のパフォーマンスに限りなく近づいていたと思います。 

 

 

 要因の一つには、妙に思い切りが良くなっていたので、弓の毛に松脂(弦への引っ掛かりを補助する)を塗りたくって無理矢理楽器の反応を良くしたことがあります。 

 

 ※本当はこれは良い判断ではありません。ただ、近いうちに毛の張替えを行う事に決めて短期的に使い潰そうという判断を下しました。 

 

 そしてそれは別としても、疲れで肩や腕、手、その他およそ楽器の演奏に使う筋肉から余分な力みが入る余地が無くなったため、自然とベストな身体の使い方しかできなくなり、良い鳴らし方が出来ていたのです。 

 

 実際こういった効果が起きていた時、頭の中はとてもぼんやりとしていながらも余分な思考が無い分すっきりもしていて、非常に不思議な感覚がありました。 

 

 後から考えればあれが無意識に委ねた状態というか、ゾーンに近い状態だったのだろうと思います。 

 

 以前の記事でダメダメになっていた自分に気付き、覚悟を決めて意識的に色々試行錯誤しながら練習して得られなかった物がそこにはありました。 

 

 ただ、この境地も中々狙って出来る物ではありません。 

 

 この時は本当に疲れ切っていて、自分が演奏していないタイミングでは楽器に寄りかかってぐったりしていて、弾き始めると全身で動き、かつヘドバンのように頭が揺れていました。 

 

 傍から見たらさぞ異様だった事でしょう(笑) 

 

 いずれにせよ、色々と頭でこねくり回して考えるよりも、本当に無意識に、自然に行く方に任せた方が良い時というのはあります。 

 

 時には、考える余裕がなくなるまで追い込まれるのもありなのかもしれませんね。