前回の記事ではイメージの大切さを示しましたが、今回はそのイメージを上手く使うための注意点に纏わるお話です。 

 

 

 前回の記事では大腰筋の位置とサイズ感を明確にイメージした事で、大腰筋と腸骨筋がうまく連動した時に太ももの裏側の筋肉を使って歩くことが出来るという事を、今まで使えていなかった「太もも裏の筋肉が軽い筋肉痛になった」事で実感できたという事を話しましたね。 

 

 そして、もう一点「イメージの大腰筋と実際が沿っているかは分からない」という事も書きました。 

 

 ここで導き出される問題点がおわかりでしょうか? 

 

 それは、太もも裏の筋肉を使い慣れたら大腰筋のイメージもあやふやになりかねない 

 

 という事です。 

 

 大腰筋はいわゆるインナーマッスルというやつで、触れて確認が出来る表層の筋肉と違って、フィードバックを取るのが非常に困難です。 

 

 そこで今回の例で言えば、大腰筋がうまく使えていれば動くはずの太もも裏の筋肉の感覚でフィードバックを取っていたわけですね。 

 

 ただ、これは太ももの裏の筋肉が、今まで使っていなかった為に筋肉痛を起こすから確認しやすいという事で、日常的に使える様になると逆に、筋肉痛が起きにくくなって感覚を追いづらくなる可能性があるわけです。 

 

 ここで大事なのは、今フィードバックが大きいうちに正しい動きを無意識下に落とし込む事、また、徐々に小さくなるであろうフィードバックを見逃さない様にこちらの感覚を鋭くしていく事です。 

 

 この考えは非常に大切です。 

 

 ただ、注意が必要なのが、後者の「感覚が鋭くなるように」という発想は、可能であればした方が良いですが、無理をしてまで感覚を追おうとしない事が大事です。 

 

 薄くなっている感覚を無理に追おうとすると、感じ取ろうとしている部分の周囲に不要な力みが生じて感覚が鈍ります。 

 

 そもそもそういった感じ取りにくい部分の感覚を追えるなら、最初からインナーマッスルの感覚をを追えって事ですしね(笑) 

 

 身体を使う事に限らず、仕事でも趣味でもあらゆる分野で「これは上手く行くな」という時には手応えの様な物を感じると思います。 

 

 しかし、それが当たり前になってくると無意識に成功に必要な動きを行うため、手応え感は薄れていきます。 

 

 ただ、それは閾値が下がって何も感じなくなったのかというとそうでもないのです。 

 

 インナーマッスルの働きのように、意識に上がらないものの無意識下でコントロールされている物に変わったという事ですね。 

 

 だから、そうなった時は難しい事を考えず自然に、動きたいように動くのがベストです。 

 

 そうやって感覚を追うために意識を集中させるのではなく、余計な感覚を省いていった先にようやく無意識下で感知している物を感じ取れるかもしれないという認識を持つのが大事です。 

 

 無意識下で処理できるようになると手応えを感じなくなる 

 

 過去に感じた手応えに執着して追い求めない 

 

 これがイメージを上手く使う上で理解すべき大切な事です。 

 

 無意識下に落としこんだ感覚をメンテナンスする手段として、認知科学に基づいたコーチング気功があるのですが、それはまた次の機会に紹介いたします。