ちょっと連続で重めの話が続いたので今回はゆるめの話をしましょう。
テーマは創作の才能についてです。
先日の事です。
過去の記事に書いたTRPGをやった面子でまた別のシナリオを行うことになりました。
本当は順番的に私がKPを務める予定だったのですが、準備が出来ていなかったため代わりに先輩がKPを務めてくださいました。
そして驚いたのが先輩がKPをやるに当たって持ってきたシナリオが自作の小説が元になっているものだったのです。
内容は学生の頃の呑みの席の与太話が現実になった、というところから始まるサスペンスものでした。
一部登場人物などの描写が我々の知り合いをもじったりしたものであるという事で、内輪のとっつきやすさは多少あったのは確かですが、それを抜きにしても作品のクオリティが高く世界観に引き込まれるものがありました。
はじめに攻略するシナリオの前日譚としてその先輩がかつて書いた小説に目を通し、シナリオはその後また新しく作り上げた物をクトゥルフ神話TRPGのプロットに沿わせて作ったとの事でした。
まず、先輩の小説に目を通した時に思った事が「創作を0から作れる人は凄い」という素朴な感想でした。
勿論登場人物や展開等々、参考にしたり影響を受けた物は多々有るのでしょうが、既存の作品に乗せるのではなく、単独の作品として成立させるという事に一種の憧れの感情すら抱きました。
私個人は、0から何かを創造する能力は正直言って乏しいです。
二次創作的な発想で既存の作品を分析したり、矛盾しない裏設定を考えることは好きなのですが、0から世界観を作るのはまず不可能ですね。
少し話は逸れますが、この0から1を作り上げる話についてはよくお笑い芸人のネタ作りにでも取り上げられます。
私の中でのこれ系の話の初出はラーメンズの小林賢太郎さんが「小林賢太郎テレビ」という番組で語っていた言葉です。
0から1は作れなくっても、もがき苦しめば0.1ぐらいは作れるんですよね。必死になってやれば。で、それを10回繰り返せばいいんですよ。そうやって作ってます。
これが一番頭に残っていますね。
そして最近ではお笑いコンビハライチの岩井さんがあちこちオードリーという番組で、一種のトークテーマとしてネタを0から1にする側とそれを受け取って広げる側のような切り口で一盛り上がりを見せていました。
考えてみると、芸人で言ってもフリートークが強い人というのはフリに対して反応する力を見せていることになります。
ある意味テレビのバラエティ番組ではそういった力が求められ、かつひな壇芸人の様に人数も求められるためそういった力を持つ人は多いように見受けられます。
しかし、必ずしもそういったトークが上手い人がネタを書いているとは限らないという所がまた一つの面白みなのだと思います。
創作能力は一種の才能や特殊技能に分類されると言うことですね。
個人的にはこれは一種の抽象化の力とゲシュタルト構築能力の高さも関わって来るのではないかと思います。
小林賢太郎さんの言葉にもある通り、0から1を作り出すというのは非常に難しい事です。
ではどうやって創作しているのかというと、日頃感じた感情のシチュエーションや、影響を受けた創作物の一部等を究極まで抽象化してからゲシュタルトを構築しているのだと思います。
例えば何か新しいキャラクターを考えて下さいと言われた時に、二次創作的な考え方が強い私は「孫悟空のように強いキャラ」であったり、「フリーザのような怖いが頼れる上司」のようにある程度具体性のあるイメージをとっかかりにしがちです。
創作力のある人はもっとここで抽象化されて「明るくて、抜けてるところがあるが、自分の土俵では他の追随を許さないキャラ」や「成果に対して一切の感情を挟まないが、チャンスは与え、部下に対しても敬語で接するキャラ」のようにより元々の作品色が消えて世界観の設定に合わせやすい作り方になるのではないかなと思います。
上記はあくまで現段階の私の認識の仕方ですし、また、優劣を決める話でもありません。
お酒の原材料の風味が有ったほうが好まれるパターンと一緒で二次創作に限らず、適度に元の色がある事を望まれる事もあります。
要するにある一定以上は嗜好にもよるということですね。
私はこれまで創作を0から作れる人は私も思いも寄らない思考の持ち主だと思っていましたが、今回先輩の創作物を見てそのある種の偏見は抜けました。
抽象化とゲシュタルト能力向上にも役立つ「創作」みなさんも一度やってみては?