前回の記事ではニンジャスレイヤーのぶっ飛んだ概要ばかりにフォーカスしてしまいましたが、今回はその魅力に迫っていきたいと思います。
冒頭で「ぶっ飛んだ概要ばかりに~」とは述べましたが、確かに最初に目を奪われるのはその奇抜さと勢いでしょう。
私が最初に見たアニメでは忍者の一般的な概念をぶち壊すようなニンジャという存在の説明がほんの少しだけ流れ、頭が追い付かないうちに一見しただけではニンジャとは分からない存在が瓦礫の中から瀕死の主人公を見つける所から始まりました。
これは後から知る事になるのですが、そもそも日本での主たる媒体であるTwitterでの連載第一話は「(これまでのあらすじ)~」というキャプションから始まり、謎の組織ソウカイヤのニンジャがニンジャスレイヤーから逃げているという場面から始まったそうです。
突然の出来事に読者が混乱しているうちにどんどん情報を投げ込み思考を破壊して世界観に引きずり込んでいくスタイルです(笑) ある意味で普通の小説等の俯瞰的な立ち位置ではなく、読者もその世界で起きている事件に巻き込まれているような臨場感を演出しているとも言えます。
時系列通りに掲載されていないというのも実は一種の表現手法とも言えます。例えば友人と雑談をしている時にその人の生い立ちから今に至るまでを全て順番に話す事はまずないでしょう。
「昔こんな事があって〜」「この間〇〇をした〜」「さっきこんなヤツ」を見かけたんだけど〜」等々その時頭に浮かんだ順に話がされるはずです。
その様な流れで伝聞で事件を聞いているというふうにも受け取れますし、最初からエピソードがバラバラであるという認識があれば、新規の読者の参入もしやすいでしょう。
さらに言えば点で流れてくるエピソードが読者の中に蓄積されて、その組み合わせで時系列が見えた時に一種のカタルシスに近い高揚感が生まれるという効果もあります。
そしてこの作品の目玉といえば個性的なニンジャ達でしょう。ニンジャとは人が鍛錬や精神的儀式を経てニンジャソウルを生成したリアルニンジャとそのリアルニンジャのソウルが宿ることで人が変質した現代のニンジャがいます。
古代よりニンジャは世界を裏から支配する存在でカラテと呼ばれる武術やジツと呼ばれる超自然的な現象を操る半神的とも称される存在です。
そして我々の知る忍者とは違い西洋騎士風のニンジャやサイバネ義体で身体を強化したニンジャ等、目がチカチカするほど個性が強いのです。
作中にも現代のニンジャが生まれるはるか昔から生きながらえるリアルニンジャが登場したり、予期せずニンジャソウルに憑依されたがためニンジャになってしまっただけのサンシタがいたりしますが一話しか登場しないにも関わらず鮮烈に印象に残るニンジャが数多います。
メディアミックスに積極的であったり二次創作に寛容であることも魅力と言えるでしょう。キャラクターの原案は確かにあるものの、漫画も原作に忠実なものから少年漫画風の改変がかかったもの、果てはBL風のものまで様々タイプの漫画版が刊行されています。
二次創作も明らかな悪意のあるもの以外は肯定的ですし、受け取り手の解釈は自由として書籍に掲載するファンアートの募集に際してもキャラクター原案に準拠する必要が無いことを明言しています。
この寛容さが読者の想像力をより高めることに繋がって相互に良い影響を与えるのです。
そして最後に私がニンジャスレイヤーの魅力として推したいポイントはストーリーの秀逸さです。
前回の記事でも今回の紹介でも伝わるこのトンチキな世界観の中で時に腹を抱えて笑うことも勿論ありますが泣かされる事もあるのです。
家族を失いその元凶を憎む主人公の怒りや葛藤もそうですし、各エピソードでスポットライトの当たる登場人物にも一人一人の歩みがあり、時に心動かされるのです。
この作品の重大な要素である奇抜さと勢いが時に物語へ没入する起爆剤としてはたらいたり、はたまたその奇抜さすら頭から抜け落ちるほどのセンチメンタルなシーンが展開されるのです。
騙されたと思って読んでみてください。後悔はしないはずです。