今回は久しぶりにライトな感じでゲームネタをお送りしようと思います。
過去の記事で紹介したゲームGhost of Tsushimaが先日大型アップデートを実施しました。それまでは一人で攻略するストーリーモードしか無かったのですが、今回のアップデートで待望のマルチプレイが実装されたのです。
しかし、ただのマルチプレイ実装だけならそこまでの注目は集めなかったでしょう。それを制作陣は驚くべき世界観の広げ方によって話題性も高めながら、既存のプレイヤーも一層引き込める物を作り上げたのでした。
まず初めに大元の世界観の説明をしておきましょう。本編のストーリーモードは端的に言えば時代劇、大河ドラマのような作品です。元寇の折の一人の侍の生き様を描いています。
ゲームにおける誇張や変更点はあれど基本的には現実に足をおいた作りとなっています。
主人公を亡き父、母が姿を変えて導くような描写もあるので多少は超常的な物もありますが、直接的に神仏や魑魅魍魎の力のようなインフレを起こしそうな物は出てきません。
作中妖怪や幽霊が出たと言うようなサイドストーリーがあっても、全て見間違いか野盗の変装であってむしろそのような超常的な存在は否定する立場でした。
しかし、マルチプレイモードではその世界観が一変するのです。
マルチプレイモードを始めるとおどろどろしい雰囲気とともに謎の男が語り始めるのです。蒙古が鬼を解き放った…と
ストーリーモードでの現実路線が一変して魑魅魍魎を使役し対馬を侵略せんとする蒙古に対して冥府より四人の冥人(くろうど)が蘇ったという筋書きでマルチプレイモードが始まるのです。
普通なら世界観を破壊しかねないような大幅なテコ入れにも見えますが、プレイしてみれば分かるのですが巧妙に現実路線と怪奇路線の橋渡しがなされているのです。
簡単に言ってしまうとマルチプレイモードはストーリーモードでの活躍を元に語り部が作り上げた伝説の追体験なのです。
作中でも対馬を守るため孤軍奮闘する主人公=境井仁に対して活躍の逸話に尾ひれがついて「冥人は山の様な大男である」や「冥人は鬼である」というような現実離れした噂が蔓延していく描写があります。
いわばマルチプレイモードは対馬の民が夢見るヒーローの活躍劇であるという立場なのです。
そう考えるとまだ信仰が人々に根付いている時代なればこそ、対馬の民にとっては魑魅魍魎の跋扈する物語にも十分なリアリティを感じたであろうことも分かります。
一見相反する世界観がプレイヤー視点では親和性の高い、むしろ見事な構成をより楽しめる物となったのです。
余談ですが古くからこの様な現実と伝説の融合は日本でも楽しまれています。分りやすい所で言えば金太郎もそうですね。彼自体は創作の人物ですが金太郎が成長した坂田金時が仕える源頼光は実在の人物であり、実在の人物と創作の人物が地続きに描かれているのです。
さらなる余談ですが最近スマホゲームで人気のFate/Grand Orderを始めとするFateシリーズはそのまま語り継がれる英雄像、伝説が英霊を形作るという設定なので特に日本人には刺さる作り方かもなと個人的には思っています。
以上のように、一見度肝を抜くような変化に見せかけてその実さらなる世界観の広がりを見せた「Ghost of Tsushima」ぜひやってみてください。私が語った100倍面白いです。