今回は以前紹介した臨場感についてのお話です。臨場感を強く持つことで人はその状況に合わせた自分へと変化することが出来ます。  

   

 それは例えばレモンや梅干しをリアルに想像した時に唾液が出てくるのと一緒です。臨場感を感じた結果、酸っぱい物を受け入れる態勢を脳が作り上げた訳ですね。  

  

 唾液の分泌を意思でコントロールしようとしても難しいですが、臨場感を感じて無意識に委ねれば不随意な部分もコントロール出来るのです。  

  

 その臨場感を強く感じる事について、世には様々な訓練法が出回っていたりします。それらに関して興味がある方は調べてみて自分に合う訓練法を探してみると良いと思います。  

  

 今回の記事では、「訓練」と銘打つと抵抗を感じてしまいがちな方々に向けて、楽しみながら臨場感を実感する方法をお伝えします。  

  

 その方法が娯楽を様々な角度で楽しむという事です。  

  

 何を言っているんだろうと思うかもしれませんが本当に言葉の通りです。何かの娯楽をその髄まで楽しみ尽くす。それを本気で行うだけでかなり臨場感が上がるのです。  

  

 例えば漫画やアニメ、小説、映画等の創作物を鑑賞するときあなたはどこに意識が向きますか?  

  

 主人公の感情?先の展開の予想?世界観の考察?様々あると思います。  

  

 まずは普段の楽しみ方を突き詰めてみましょう。主人公の感情に意識が向くなら自分が主人公であると心底思いこむ。先の展開が気になるのなら作者の立場なりきり、どうやって観客を楽しませるかに思いを馳せる。世界観の考察を楽しみたいならその世界に行った自分を想像する。といった感じです。  

  

 自分自身が普段からどう楽しんでいるかをまず明確にしましょう。そうすればどの方向で楽しみ方を極めれば良いのか、他にどんな楽しみ方があるのかが分かります。 

 

 例えば私の場合は世界観を楽しみたい派ですね。その世界で物語の進行に影響のない所に居る自分のアバターを設定して想像を膨らませます。  

 

 観客としてではなく、その場にいる人間としてなら登場人物をどういった目で見るだろうといった感じですね。 

 

 登場人物との関わりだけでなく、その世界で旅をするなら何処へいくか、何をして生計を立ようか等細かく考えてその世界の一部になるつもりで楽しみ方を極めれば自然と臨場感が上がります。 

 

 主人公や登場人物になりきるのも同様に有効ですね。やるからには本気で、トレースのレベルが高ければ高いほど臨場感を強く感じているという事です。 

 

 ここまでで終わってしまうと観客の立場は?となるかもしれません。しかし観客には観客の臨場感が有るんですね。考えてみてください。そもそも漫画等の描写で徹頭徹尾登場人物の一人の主観だけで描かれる作品は有りません。 

 

 観客は登場人物よりも高い次元で物語を見ている存在です。その立ち位置から作中にちりばめられている描写の意図を酌んだり、因果を整理して把握したりと逆に作中の世界観に居ないからこそ存在できる場所が有るのです。 

 

 そこから更に発展させればどうやって観客を楽しませるかの作者側の視点にまで臨場感を持つ事が出来ます。 

 

 このように、仮に一つの物語であったとしても立場を変えながら楽しむことで、それぞれの視点での臨場感の訓練にも繋がり、かつ作品を髄まで楽しみ尽くすことが出来るのです。 

 

 まずは何でも良いので自分がのめりこんだ作品を一つこのように楽しんでください。意外と簡単な事から世界が変わりますよ。