今回は前回の記事の結論を別視点で見て出てきた「最初の積み重ねが一番辛いけど重要」というお話です。

 

 先日、お盆休みで時間があったので、また高校の部活の練習を見に行きました。

 

 ちょうど私の高校の時の先輩も、休みだったようでいらっしゃっていたので、昔話に華を咲かせつつ後輩の基礎練をじっくり見ました。

 

 ある程度自分の思い通りに楽器を扱えるようになると忘れがちですが、始めたばかりの頃というものは正直な所、苦痛に感じるレベルで練習が辛かったりします。

 

 今年の一年生は、ピアノ等の経験は有るらしいので譜面が読めるという事は1つアドバンテージになるのですが、人によってはまず譜面の読み方から1つの壁が立ちはだかります。

 

 余談ですが、ヴィオラという楽器は使用する楽譜がハ音記号というほぼその楽器でしか使用されない音域を示す物を使うのでピアノ等の経験者でも覚え直しになる人は多いです。

 

 譜面の読み方1つとっても単純に音階だけ理解できても足りず、4分音符や8分音符等からリズムを読み取らないといけないですし、膨大な表現の指示などは曲ごとに学ぶにしても最初は中々理解に時間がかかります。

 

 その上で楽譜に示される音域が楽器のどこに対応し、リズム通りに音を鳴らすにはどう腕を動かすかを考えなくてはいけないので気にするべきポイントが多いのです。

 

 コントラバスで言えば音程は左手で弦を押さえ、右手で弦を弾いたり、弓を用いて擦ることで弦を震えさせて音を鳴らします。

 

 楽器ごとに難しさのポイントは違いますし、優劣もつかないのですが大きい楽器であるコントラバスは、左手で弦を押さえる時も他の弦楽器と比べ力を込めないといけないですし、右手も動きやかける圧力が大きいです。

 

 そのため、最初のうちは音階1つとっても左手の圧力に気を取られると右手が疎かになって変な音が鳴り、右手に集中すると左手の押さえが弱くなって音階が取れなくなる。と言ったことになってしまいます。

 

 そのため最初のうちは右手のみを練習して、意識を必要以上に向けなくてもコントロールできるようにして、その後に左手を使って音程を確認していくという流れが基本的な物になります。

 

 しかし、ここが部活動の難しいところで、技術の習熟度合いに関わらず発表のタイミングが訪れてしまうのです。

 

 これには私自身も始めたばかりの頃苦しみましたし、今年の一年生も大変苦しんでいるようでした。

 

 思うように楽器がコントロール出来ず、自分は出来ていないのに周りだけ先に進んでいく、今思い出しても何故あの時努力が続いたのかが謎ですね(笑)

 

 ただやはり、その頃培った基礎が今にも役立って居ることは間違いないように思います。

 

 大学に入って先生についてから教わった基礎も多く有りますが、右手の安定性や良い音がなってる時の感触等は辛い辛いと思っていた初心者の頃の一年間、何が正しいのかも分からないなりに信じて続けていた練習の中で身についたものです。

 

 

 最初のうちはその分野に対する情報のキャパシティが少ないため、気をつけるべき事が相対的に多くて混乱するのですが、練習を続けるうちにゲシュタルトが構築され処理できる情報が増えるのだと思います。

 

 最初のうちは反復練習、そしてそれに対して続けられるようにするための自分自身で楽しめる工夫が大事です。

 

 今年の一年生に関してもまず本人は折れないことが大事ですが、時間がかかっても成果が出る手段を教えてあげるのが先輩の役目だと思っています。

 

 正しい努力を積み重ね、正しい基礎が身につけばこそその先の成功に繋がります。皆さんも納得出来る物を積み重ねていってください。