前回の記事で空手を再開するきっかけの一つになったアクション映画RE:BORNに関してそれを通して感想とは別に気付きがあったのでお伝えします。
RE:BORNという映画を知ったきっかけはFacebookのウォッチで見た動画でした。リンクから流れられる所へ流れていくという見方をしていたので知り合いが上げているものではなかったですが、その映画のアクションシーンの一部が流れていました。
それを見ようと思ったのも偶然でしたが、主役の俳優さんが少し大学時代の先輩に似ていたというところもあります(笑)顔というよりは全体の雰囲気が近くて印象に残ったのです。
アマゾンプライム会員なら今は無料で見れるので見て頂くのが早いのですが、もう本当にアクションが凄い!
主演のTAK∴(坂口拓)氏が陸上自衛隊や警察大学校への指導実績をもつ稲川義貴氏に弟子入りし、修行して身につけた零距離戦闘術を惜しみなく披露した至極の作品です。
作品の見所は勿論アクションですがキャストも豪華です。中でもラスボス役としてあの大塚明夫氏が起用されている事も個人的にはグっと来る所です。映画の世界観が戦争に身を投じた者たちの物語ということもあり、どこかメタルギアソリッドを彷彿とさせます。
さて今回の記事のタイトルにもある知識があると楽しいこと、これはちょうどこの映画を見て知識が役立って面白かった所と足りなくて少し悔しい思いをした所があったという体験から来ています。
まずアクション面。映画に出てくる零距離戦闘術は前述の通り、陸上自衛隊や警察の指導にも用いられるほど実践的な戦闘術です。その戦闘術を用いるために必要な身体操作法としてウェイブという物が作中でも特徴的に描写されています。肩甲骨を柔軟に動かしそこを起点に効率的な体捌きや攻防に繋げる技法です。
このウェイブに予備知識は無かったもののピンと来るものはありました。浪人時代や大学に入ってからも武術関連の本や雑誌はちょくちょく読んでいたのですがその中で、高岡英夫氏が述べているものに近いと感じたのです。高岡英夫は古武術の身体操作やトップレベルのアスリートのパフォーマンスを骨格や筋肉の構造と実用の観点から科学するというスタンスでその論の中でも肩甲骨や股関節のスムーズな動きについては重要視しています。ウェイブの動きというか理念の様なものにそこに通じるものが見えたのです。そしてだからこそこの映画のアクションは本物だと思って鑑賞することが出来たのです。
これは稲川義貴氏が高岡英夫氏の影響を受けているとかそういう話ではなく(共に幼少期に古武術に触れていたという共通点はあるものの)違う場所からスタートして極めて行った結果近い結論に至るということであり、そこが面白いのです。ある意味自分が薄っすらとですが知識を持っていたからこそ俯瞰的な視点からその面白さを掘り出せたのだと思います。結果として自分でも武術をやりたいと思うようになり、空手の再開を決意することになるわけです。また、自分で武術的な動きを体験して理解すればさらにこの映画を楽しむ事が出来るでしょう。
そしてもう一つ面白いなと思ったのは大塚明夫氏が演じるファントムです。
いい声!なのはもはや言わずもがなですが、役どころがファンにはグッときます。そもそもがメタルギアソリッドの同名のキャラクターのオマージュとも言われていますが、個人的に目についたのがその武器です。ファントムの戦術は激しい戦闘術ではなく声や動きをトリガーに催眠術をかけるという物でした。抵抗できなくなった相手にナイフで止めを刺すのですがそのナイフがそれはもうゴテゴテに装飾してあるのです。これはメタルギアソリッドファンにはちょっとおもしろいネタになります。
メタルギアソリッド3にて大塚明夫氏演じるネイキッドスネークは未熟な敵オセロットの華美な装飾が施された銃にこう言い放つのです。
確かにいい銃だ。だがその装飾(エングレーブ)は何の戦術的優位性(タクティカル・アドバンテージ)もない。実用と鑑賞用は違う。
今回の役が変にスネークに近い存在なのもあって、「いやあなたの武器ゴッテゴテですやん!」と突っ込みたくなる瞬間です。しかし、ちょっとここで別の視点も頭を過りました。戦術が催眠術を利用するものであるならば注意をそらしたり逆に向けるのに印象的な装飾はむしろ都合が良いのでは?もしこの仮説が正しければですが、一瞬ツッコミを誘発させてその実しっかりと戦術的優位性(タクティカル・アドバンテージ)が有るという高度なネタになっている事に気付くのです。
ただここで、問題なのが私には催眠術等の知識が無いということでした。せっかくそれらしい結論が見えているのに根拠に乏しいというのはなかなかにもどかしいです。一応認知科学の本は最近読んでいるのでいつかはそのあたりの知識が身につくかもしれませんが。
このように知識があれば一歩踏み込んだ楽しみ方が出来るますし、半端な知識だと歯がゆい思いをすることもあります。これは創作物の楽しみ方だけではなく、仕事も趣味もあらゆる場面で当てはまる事です。
人生をよりエンジョイするためにも知識をつけましょう。