争わないための考え方でも触れましたが、誰かに対して自分の意図した通りに物事を伝えるのは困難です。それは自分と相手の常識の違いであったり、語彙の違いであったり、観点の違いであったり、認識の違いであったり様々な要因があると思います。

 

 どこまでいっても自分と他人は違うものなので簡単にわかり合うことは難しいのですが、それらを踏まえて物事を伝えるのに必要な思考を紹介します。

 

1.俯瞰的に考えるように心がける

  

 これは伝える前段階から使える物ですが、要するに伝えたい相手にまで思考を巡らせておく、ということです。伝えたいことについて主観的になりすぎると相手が知らないはずの前提を省略してしまったり、相手が違う受け取り方をしていても気付かないリスクがあります。

 

 対話が出来る場合は相手も反応を返してくれるはずなので、そこから意図通り受け取られているか、認識が違った場合はどのように伝わったかに注意を払うようにしましょう。スピーチ等の形式で一方的になってしまう場合は伝える対象がどういった層なのかを事前に理解しておき、例えば前提となる知識はなるべくその場で説明するというように取れる工夫があるかを考えておきましょう。

 

2.自分が何を伝えたいのか理解する

 

 何を当たり前のことを…と思われる方も多いと思いますが意外とこれは意識しないと抜けてしまいがちなんです。スピーチ形式の時には最後まで作り込んだ台本を精査する等といった方法で少なくともその段階で自分が伝えたいことは言い切ることが出来ますが、特に対話を行っている時は要注意です。

 相手からの質問や指摘を受けた時、自分には見えていなかった要素が出てきてしまうとそこに対する理論の構築をしようとしてしまいます。

 そこで何を言いたかったかの要素と新しい要素が混在してしまうと論点がずれ始めてしまい、結局何を話したかったのか分からなくなってしまう可能性が高くなるのです。

 この状態に気付くことが出来ればまだ話を途中まで戻すといった対処が出来ます。しかし、論点がずれて話が縺れてしまうと、伝わらないだけならまだしもその話題、悪ければ話し手に対して相手が「よく分からない」という印象を抱いてしまい。話題や話し手に対して「分かりづらい」というフィルターが掛かってしまうので、より理解を得るのが難しくなってしまいます。

 自分の主張を本当の意味で理解するにはいくつかの方法があり、思いの外高度な事も要求されます。しかし、そこまでの段階に至っていなくても、自分の理解はまだ浅いかもしれない」という認識を持っているだけでも論点のずれには気づきやすくなるので一定の効果が得られます。

 

3.定義を明確にする

 

 日常で使っている言葉でも人によって違った認識で捉えられてしまっていることは多いです。

 例えば犬に噛まれた事がある人からするれば犬は恐怖の対象です。反対に小さい頃から犬を飼っていた人にとっては家族であり、愛を注ぐ対象でしょう。

 この状態で会話をしている時に「犬のようだ」という比喩を使ったとしましょう。

片方からすればポジティブな印象、もう一方にはネガティブな印象があるので両者の間で大きな齟齬が生まれてくるのです。

 固有名詞、ことわざ、慣用句、erc.様々なものに対してこのような人それぞれの定義の違いは起こりえます。

 そういった齟齬を防ぐためにも、大切な要素だけでなく、当たり前だと思っている前提に関しても定義付けを行い認識を揃えるようにしましょう。

 

4.多角的な視点から説明する

 

 これはある種1~3で伝えた内容を総合したものになります。何かを説明する時に一つの視点だけでは個人の捉え方の違いでフォーカスがずれてしまう可能性が高いです。そこでその事象を説明する時に複数の観点から説明することで意味合いを限定することが出来ます。

 

 先程の犬を例に挙げてみましょう。犬好きの人がただ「犬が好き」というよりも「小さい頃から一緒に住んでいた」「思い出がたくさんある」「自分によくなついている」「利口である」等の複数の要素から説明すれば、犬に良い思い出の無い人にとってもどこかしらの要素で共感を得られ、意図が伝わりやすくなるのです。

 

 更に言ってしまうとこの1~4までの内容そのものが「誤解を生まない伝え方」の多角的な説明という構図になっています。

 

 以上が私の考える伝え方のポイントです。とは言え最初にも述べた通り、自分の思いを伝えるということは相手が自分ではない以上かなり困難です。

 また同じテーマで良い方策が思いついたら記事に致します。皆さんも自分なりの方策を考え、よろしかったら私にもアドバイス頂けると幸いです。