ウサイン・ボルトは前傾が終了してからピッチアップを行っています。
頭が起きてからピッチアップするのは苦手だという選手には、モーリス・グリーンのやり方が選択肢に上がると思います。
モーリス・グリーンはボルト以上にピッチアップが大きく、中盤以降のピッチもプラスで走ります。
ボルトは16~21歩がピッチアップ区間ですが、グリーンは16~23歩がピッチアップ区間になります。
2歩ボルトよりも多くピッチアップしているところが中盤以降のピッチがプラスに繋がっています。
上の動画でグリーンの走りがよく分かります。
グリーンは16歩目まで非常に大きくダイナミックな動きで走り、前傾終盤の16~23歩をピッチアップして顔が上がるとストライドを伸ばしていく三次加速に繋げています。
ボルトは21歩目まで、グリーンは23歩目までピッチアップしていますが、歩数を見れば違いはありますが、ストライドの違いを考えるとピッチアップが終わる距離はボルトもグリーンも似たような距離で二次加速を終了しています。
前傾を終えて二次加速に入るか、前傾を長くして前傾の終盤で二次加速に入るかの違いはあっても、ピッチアップで二次加速して行くという本質はボルトもグリーンも同じです。
日本でもグリーンのように長く前傾を取る選手が、シニアでもジュニアでもちょくちょく見られますが、本質である前傾終盤のピッチアップが出来ている選手は中々いません。
ボルトもグリーンも後半の失速が非常に小さい選手です。
二次加速をしっかりピッチアップで加速することによって、その後のストライドを徐々に伸ばしてトップスピードを高める三次加速がゴールに出来るだけ近くになり、トップスピードの高さと後半の失速の少なさに繋がっています。
絶対王者として君臨したボルトとグリーン、一見すると走りに大きな違いがあるように見えてしまう二人ですが、二人の後半の強さの源の本質は同じであり、どちらのやり方にせよ真似したいところだと思います。