グランプリファイナル前最後の大会となるダイヤモンドリーグチューリッヒ大会。

 

女子100m、男子200mともにパリ五輪金・銀メダリストが揃った注目度の高い大会となりました。

 

女子100mは金メダリストのアルフレッドが五輪決勝に近い走りが出来るかに注目していました。

 

五輪決勝以外のアルフレッドは前傾後のピッチアップのない走りで、五輪決勝だけ前傾後のピッチが上がって快勝しています。

 

10秒88(+0.1)RT0.173

 

1~16歩3秒18

16~21歩1秒06

歩数48.9歩

前傾後のピッチ0.00

中盤以降のピッチ-0.08

 

五輪決勝以外は前傾後のピッチがマイナスになることがほとんどのアルフレッドにとって0.00は平常運転としては悪くないですが、やはり日頃からピッチアップの意識を持って走っている(練習している)かと言えばNoだと思います。

 

それに対して、調子が悪くてもしっかりピッチアップしてくるのがリチャードソンです。

 

今回は前傾後のピッチアップが+0.29と上げ過ぎに見えるくらい上げていました(上がった要因はいつもより1~16歩を大きく入ったため)。

 

リチャードソンの最大の強みは終盤の失速が小さい事です。

 

今回は50~60,60~70mの20mが0.94秒で通過とリチャードソンとしてはトップスピードは低めでしたが、ラスト10mが0.96秒と最速区間との差がたったの0.02秒は女子選手としては驚異的な終盤の速さでした。

 

今シーズンのパフォーマンスは昨年よりも0.1秒ほど落ちているイメージのリチャードソンですが、レース展開でのロスというよりもフィジカルや走りの技術の方でロスしていると思われます。

 

 

男子200mはパリ五輪銀メダルのベドナレクが自己記録を0.02秒更新する19秒57と快心の走りを見せながらも、レース後半驚異的なスピードで捲って来たテボゴに0.02秒及びませんでした。

 

テボゴは相変わらずスタートからの加速がパリ五輪決勝とは全然違って鈍いです。

 

パリ五輪決勝では1~16歩を100mの時のように速く入って前半の100mを10秒12で通過しています。

 

今回は1~16歩をゆっくり入って前半の100mは10秒30で入っています。

 

最初の40mだけで0.12秒も遅いです。

 

リアクションタイムは0.014秒今回の方が速いので、実質0.13秒以上最初の40mだけで遅れています。

 

何故テボゴはパリ五輪決勝仕様の走りをしないのでしょうか?

 

恐らく、タイムを出す事よりも怪我をするリスクを出来るだけ下げることに重きを置いているのではないかと思います。

 

現状でもパリ五輪決勝仕様で走れば条件が良ければ19秒3台は可能だと思います。

 

しかし、来年以降さらに伸びる事が見込まれる選手です。

 

一番怖いのは怪我をして練習できない状態になることです。

 

1~16歩を力感を抑えてゆっくり入れば必然的にトップスピードは落ちます。

 

今回の最速区間は50~60,60~70,70~80mの区間の0.89秒です。

 

パリ五輪では70~80mで記録した0.87秒です。

 

 

大きな走りかつ最高速を抑えて肉離れが起きるリスクを小さくし、スピード減速区間となる後半は前にいる選手を全部ぶち抜くという戦略で勝ちに来ていると思われます。

 

100%の力を見せてくれない事で、不満に思う陸上ファンも少なからずいるかもしれませんが、将来大記録を達成するために今は怪我をしないことを優先しているということでしょう。