ダイヤモンドリーグオスロ大会は日本人にとっては何と言ってもサニブラウン選手が9秒99を記録してパリ五輪を内定させたことが一番の出来事だと思います。
これによって日本選手権にピークを合わせる必要もなく、五輪に全集中出来る環境が整いました。
映像を見て分かるように中盤までは明確にトップで、スタートからの加速、頭が起きてからの加速も良く、後半型のシンビネにかわされてしまったものの非常に手応えのあるレースだったと思います。
9秒99(+0.4)RT0.147
1~16歩3秒28
16~21歩1秒06
歩数44.1歩
前傾後のピッチ+0.14
中盤以降のピッチ-0.01
サニブラウン選手と言えばスタートの反応で出遅れるというイメージを持っている方も多いと思います。
今回はリアクションタイムが0.147秒と0.14台を記録しています。
0.14台はまずまずの反応というのが一般的な評価になるかもしれませんが、サニブラウン選手が0.14台を記録したのは記憶になく、反応速度が良くなって進化したと感じます。
1~16歩は3秒28で、この数値はここ数年のサニブラウン選手としては遅めの数値です。
1~16歩のタイムが遅いのにスタートから速いということは、大きな動きでしっかりと前に進んでいる事を示しています。
大きく走って前に進むのが一番理想的で、大きく走ると前傾が終わった後のピッチアップの余地が大きく、しっかりとピッチアップがしやすいです。
現にサニブラウン選手は16~21歩が1秒06としっかりピッチアップし、前傾後のピッチもひとつの目安である+0.10を超える+0.14を記録してピッチを上げて前傾後の加速も強力でした。
室内から好調さを感じさせていましたが、ここまで非常に順調にシーズンを過ごせています。
五輪にピークを合わせて無風9秒8台までパフォーマンスを上げる事が出来ればメダル争いに加われると思います。
パリ五輪でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待しかないサニブラウン選手の好パフォーマンスでした。
ダイヤモンドリーグオスロ大会でもうひとつ気になったのが、世界記録まであと一歩まで迫っていたジャマイカのシェリカ・ジャクソンのパフォーマンスが非常に悪い事です。
体が絞れていないようにも見え、全くストライドが出ず、自己ベストから1.5秒以上遅い22秒97は非常事態発生と言っていいと思います。
ジャマイカは先日のユージーン大会のE.トンプソンの絶不調もあって総崩れの危機に瀕しています。
まだ、シーズンインを迎えていないS.フレイザープライスの調子が悪いと打倒アメリカどころかメダルなしの壊滅的状況さえあり得ます。
長年この3人によって支えられてきたジャマイカ女子短距離陣ですが、パリ五輪イヤーの大事な年にこのようなことになるとは予想していませんでした。
ただ、まだ時間は残っています。
ジャマイカ女子短距離陣が急速に立て直すことが出来るのかどうか注目したいと思います。