世界室内をもって室内シーズンが終わりを告げて屋外の100mのシーズンになります。

 

2024年室内シーズンは桐生選手が日本記録を更新する6秒53をマークし、それを多田選手が日本タイ記録を出した次の大会で0.01秒更新して日本記録は6秒52になりました。

 

60mのタイムというのは多くの人にとって馴染みが薄く、このタイムは速いのか?このタイムなら9秒台は狙えるのか?と疑問が湧くと思います。

 

60m室内世界記録は6秒34で、今年の世界室内を6秒41で制したC.コールマンが所持しています。

 

ボルトの世界記録時の60m通過が6秒29で、2017年世陸決勝のコールマンが6秒32です(東京五輪準決勝の蘇炳添は他の選手の通過タイムに矛盾があるので個人的に保留しています)。

 

それを考えると、6秒52というタイムは9秒台が確実に出るようなタイムではないのでは?と思う方もいるでしょう。

 

その通りです。

 

室内60mは日本に限らずですが、しっかり取り組む選手が少ないので、屋外の60m通過タイムが室内60m日本記録を大きく上回る事例も数多いです。

 

筆者が把握しているだけで、こんなにも多く6秒52よりも速い通過タイムを記録しています。

 

向かい風でも6秒4台を記録している事例も少なからずあり、室内60m日本記録が特別な記録ではないという事が分かります。

 

日本記録を出した多田選手自身も6秒45の通過タイムを記録していますし、山縣選手が日本記録を出した時には60m地点では山縣選手と互角か前にいるくらいだったので6秒43前後では通過していたと思います。

 

多田選手が好調か不調かどちらかと言えば好調なのは間違いないですが、アジア室内や世界室内で見られたように前に先行されると中盤以降の失速が大きくなる傾向が見て取れます。

 

今年はサニブラウン選手が例年になく早くから調子を上げて来ており、スタートダッシュに定評がある坂井選手や、昨年大きく飛躍して中盤の加速に磨きがかかっている栁田選手などが中盤までに多田選手の前に行く可能性は十分あります。

 

室内シーズンでは一番目立った多田選手ですが、このままパリ五輪代表を掴み取るかと言われるとそう簡単には行かないと感じています。

 

室内シーズンに出ず強化に充てた栁田選手、坂井選手、小池選手が屋外シーズンでどのようなパフォーマンスを示してくるのかも注目していきたいです。