感想であり、レビューではないです。
レビューは評論や批評という意味なので、適していないと思います。
もみじさんの感想
基本的には癖が少ない方向です。
ほんの少しだけポップな方向にいくように感じるものの、
それは本当に癖の少ないアンプと比較した場合に気になるだけかと。
歯切れのよい音は歯切れがよく、ふわっとした音はふわっと表現されます。
巷で言われるような所謂バランスっぽい音はほぼしません。
hotとcoldの立ち上がりがずれていて何とも言えない音になっていたり、
電源の設計が悪く軽い音になっていたりということがありませんので。
音量はかなり上げられ、音痩せは少ないです。
37.5Ωでも軽く3Vrms(8.4Vp-p)以上出力できる大出力なので、
よほど特殊な条件のヘッドホンでない限り音が割れることはないと思います。
高能率のイヤホンだと少し雑音が気になりますが、ヘッドホンと私の耳では気になりません。
ヘッドホンとの相性はあまりないように思いますが、情報量が多い環境で使うと
音が飽和してしまうようなもの、暗めの音の平面駆動型はいまいちかもしれません。
環境が良くなればなるほど音の分離が良くなるヘッドホンが良いと思います。
(たとえばEdition9とか。あれはあれで細かい詰めが甘いですけどね。)
出力ジャックは日本ディックスさんの5000円で販売されていたものと、
のちに値段が下がり化粧箱がついたものを触ってみました。
しかし、サンプルが1つずつでは違いはよくわからず…。
テープより化粧箱に入っていたほうがかっこいいと思うものの、
基板に取り付ける部品に箱が必要なのかは疑問です。
私はどんなに少なく見積もっても200種以上のアンプを聞きましたが、
ちゃんと設計してあるものは本当に少ないですね。
by もみじ
結論から書くと、間違いなく大事でしょう。
以前も書きましたが、オーディオアンプの音は数字や波形だけで決まるわけではありません。
一方で、数字や波形が悪いのに音の再現性が良いアンプは絶対に存在しません。
なので、まずは基本に忠実な設計で良好な測定結果を得た上で、
様々な経験やノウハウを駆使して音を詰めていく必要があると考えています。
ただし、一般的な測定値でわかるものはごくわずかですので、
最低限の技術があるかどうかの判断程度に使うものだと思います。
たとえば、一般的な測定データには表れにくい部分ですが、
パスコンの位置や引き回しで電源の振る舞いは大きく変わります。
どれだけの距離で、どのような配置で、どう配線したかというのは、
データを見てもなかなかわかりません。
しかし、基板を見たり使ってみればわかる場合も多いです。
(それも知識と経験がなければわかりませんが。)
というわけで、オーディオアンプでよく登場する値や波形等を少し解説してみます。
音について書いている部分がありますが、これは私の耳および
私の周りの技術者さんの耳での感想をまとめたものです。
必ずしも当てはまるものではないのでご注意ください。
・昔からやっている人は特に重視する「矩形波応答波形」
vier flugel
上:アンプ出力 100mV/DIV・負荷無し・hot-GND間
下:アンプ入力 50mV/DIV
オシロスコープで矩形波(四角い波形)を見るあれです。100kHzくらいで見ることが多いです。
矩形波は高調波を多数に含む波形ですので、周波数帯域が狭いアンプの場合、
大きくなまった波形になります。
カットオフ周波数が極端に低い場合、可聴域の上のほうでも位相が遅れるため、
倍音がずれ高域のピントが合わなくなったりします。
その音が、厚みがあって良いように聞こえる人もいるようです。
個人的には、最低でも可聴域もしくは再生する音源の帯域で広いほうの10倍以上、
可能であれば100倍程度の帯域幅がほしいと考えています。
一方、周波数特性にピークがある場合はリンギングが出ます。
100kHzの矩形波だと基本波が100kHz+高調波ですので、
周波数特性の荒れ方がとてもわかりやすく見えます。
リンギングが出ている場合、うるさかったり、入力信号以上に音が鋭くになる傾向があります。
こういった音を、解像度が良い・分離が良いと感じる方もいます。
味付けとしてそういった特性に仕上げるのは良いと思いますが、
意図せずにそうなってしまっているものも多く見受けられます。
上記の波形の場合は、アンプの出力波形の肩が少し落ちていますが、
オーディオアンプとしては十分と考えられる帯域幅は確保できています(約2.2MHz)。
・アンプと言ったらこれ「歪率」「THD」・「雑音歪率」「THD+N」
歪率・THDはどれだけアンプの出力が歪んでいるか、
雑音歪率・THD+Nはそこに雑音も含んだものです。
測定は正弦波で行います。歪むというよりは、「どれだけ高調波が
発生するかを示した値」と表現したほうがわかりやすいかもしれません。
オーディオアンプだとよく見かけるA補正は人間の耳に合わせた補正であり、
測定する帯域の上下で感度が落ちていますので、値が良くなります。
THDもしくはTHD+Nが意味を持つのは、周波数と出力とおおよその帯域幅が表示されている
場合のみです。それがない値については、どこで測っているのかわかりませんので。
(本当はほぼわかるのですけど。)
なお、この値ではF特にピークがある等はほぼわかりません。
・最大出力がわかる「クリップ波形」
vier flugel
2V/DIV・33ohm負荷・電源電圧 約1.24V電池×4本
出力がどこまでスイングできるかが直感的にわかる波形です。
正弦波を入力し、出力波形の天辺がつぶれるところまで信号を大きくしていきます。
そのつぶれるところまでが、出力できる範囲になります。
この値は負荷によっても変わりますし、クリップする前から歪率が悪化する場合も
多々ありますが、参考にはなります。
注意しなければならないのは、クリップの原因が必ずしも出力段にあるとは限らないと
いうことです。大出力時の入力信号がそのアンプの入力範囲を逸脱しており、
クリップする場合も十分に考えられます。まずは理論値を…。
よく見かける項目の解説はざっとこんな感じです。
あまり見かけないものではIMDなどもありますが、現代のアンプにおいて
そこが問題になることはほぼないと思います。
・最後に…
自分の想像を逸脱するほど耳の良い人は、周りに結構いるかもしれません。
実はvier flugelって……最初はもっと部品点数が多い形で設計をしていました。
vier flugel
→https://ameblo.jp/analog-of-magic/entry-12405422469.html
でも、今回はある程度しっかりと測定してあるアンプをできるだけ安価に
展開できないかと考え、少し簡略化して部品点数を減らし、一部設計しなおし。
→これにより、はんだ中級者以上ならきっと組みたてられるキットも設定しました。
簡略化により理想から少し離れた部分は間違いなくあります。
それでも多くのヘッドホンアンプよりも良い特性です。
…最近のオーディオアンプは、主要な特性も公開していない場合が多いので、
自分のところで測らないと詳細わからない場合が多いですけど。
※音の感じ方は主観なので、この記事では書きません。
※特性の解説についても後日書きたいと思っています。
もともとはこのようなコンセプトなので、キットの設定もありますが、
完成品のほうがより設計の意図が感じられる音になります。
測定値も曖昧で音も曖昧なヘッドホンアンプに不満を持っている方には良いと思います。
そうでない方には向きません。メーカー製で満足できるならば、それが一番良いでしょうし。
音の方向性などは別の記事で書こうと思っていますが、増幅器は色付けを極力排除する
方向で設計しなければならないと思っています。器(うつわ)ですので。
はんだの種類やはんだづけのクオリティでも音は変わってしまいますし、
部品を変更するとほぼ確実に特性が落ちます。だから電池も指定しています。
そのため、キットを組み立てる行為そのものがしたい!や、
部品を変えて好みの音に調整したい!という目的にも向きません。
一部、変更すると厳密に見たときに特性が良くなる部品はありますが、
それがわかる人はキットなんてきっと買わないでしょう。
ただし、音には好みがあるので、こちらで組み立てる場合は微調整ができるよう、
はんだは数種類用意しています。
たとえば無鉛はんだではSR-37、有鉛はんだではKR-19RMAなどです。
個人的には、本当はこれも決めてしまいたいのですが…。
オーディオアンプの音は数字や波形だけで決まるわけではありません。
一方で、数字や波形が悪いのに音の再現性が良いアンプは存在しえません。
なので、まずは基本に忠実な設計で良好な測定結果を得た上で、
様々な経験やノウハウを駆使して音を詰めていく必要があると考えています。
vier flugelは、せっかく久しぶりにバランス出力アンプを設計するので、
まずはできるだけ振幅を取りたいと思いました。
大きなアンプが能率の悪いヘッドホンを鳴らせるのは当たり前です。
それを小型・軽量で大出力のアンプでできたら、面白いと思うのです。
あとは、歪みは小さく、帯域幅は広く、単四電池4本という比較的低い電圧でも
安定し、電池がそれなりにもち…という条件で設計しました。
シングルエンド出力とバランス出力では電源周りの設計が変わるので、
vier flugelは設計段階でバランス出力専用に絞っています。
※実際は具体的な値を設定して設計しています。
値を決めて設計しても測定しないと意味がないので、実際にできたものも測定して
理論値や設定値と実測値を比較し、ほぼ誤差程度の差であることを確認しています。
利得(ゲイン)と使用している部品の関係で、雑音だけは少し不利になりましたが、
これも極端に多いわけではありません。なお、これもほぼ計算値通りです。
特性についての記事はこちら↓
https://ameblo.jp/analog-of-magic/entry-12405424033.html
https://ameblo.jp/analog-of-magic/entry-12405424801.html
vier flugelさんは意外とちゃんと設計していますよ!というお話でした。
私はもともとプリやパワーアンプも設計する人なので、
ヘッドホンアンプは変な界隈だなぁと思っていたりします。もう12年くらい(笑)。
by もみじ
少し前に、細々と修正をした2nd lotの基板が届きました。
でも、この角度だとほとんど違いがわかりませんね。
ボリュームやLEDの突き出し量が変わっていたり、
部品の位置が少し変わっていたりします。
あとは前回やらかした部分の修正を…。
熱にちょっと弱い部品は今後もこちらで取り付けようと思っていますが、
はんだに自信がある方は未取り付けでの出荷もOKです。
(熱に弱い部品=インダクタで、コアが割れる場合があります。)
興味がある方はこちらへ https://ameblo.jp/analog-of-magic/entry-12405422469.html
byもみじ
2018年10月の27(土)・28(日)
・もみじ
(野良)回路屋さん。トラ技の記事を執筆したことも。
完成品をつくるより実験している方が多いです。
バランス出力アンプは久しぶりに設計しました。
音楽と理論が好きで色々と聴くので、アンプは極力癖のないものを好みます。
測定してないものは無理!
※美少女ではない
・クラフトマン
電子回路は細々と素人の域を出ないで、やったりやらなかったりで来た人。
アンプ始めて約1年、もみじさんのシングルエンドをスタンダードに、少しシンプルなものを勉強しながら作りました。
バランスは勉強の一環としていいな!と思っていたので、良い機会と思いましたが vier flugelはもみじさんが設計…
ピュアオーディオよりは少しミーハーな音が好みかも知れませんが、本気で設計されているアンプには敵わないなぁって所です。
彫金や革細工、バイクや車のチューニング、音楽や映画とアニメ、わりと雑食です!\(^o^)/
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ポータブルバランスアンプ vier flugelさんの話はこちら
なかなか決まらなかったんですが、やっと決まりましたのでご報告ですw