ディスクリートアンプピンキリ物語 | Analog of Magic もみじとクラフトマンのblog

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オーディオではディスクリートアンプが好きな人が多いですね。
ディスクリートアンプにはメリットもありますが設計者によって特性が大きく変わります。実際の特性を見ながら、どれほど差があるか確認してみましょう。

 


1.私がユニバーサル基板で組んだディスクリートアンプ

以前ユニバーサル基板で組んだ試作回路です。0.8V以上の部分は測定限界です。これは無負荷ですが有負荷もほとんど変わりません。
トランジスタはファイナル以外2SA1015と2SC1815。定番トランジスタでも設計次第でこれくらいの性能は出ます。各種データを取るための基板だったので少し値が良くない部分もありますが、癖が少なく良い音がします。


2.真空管・半導体ハイブリッドディスクリートアンプ

これは異色。真空管のテイストを残したアンプです。
THD+Nは大きいですが、その成分は二次歪みが主体となっています。同等の大きさで奇数次歪みが出ているものとはずいぶん音が違います。より良い設計をするには値が悪化する原因を知らなければなりません。それを知っていると狙って歪みを残すこともできるという例です。

 


3.プリント基板を頒布されているらしいディスクリートアンプ

測定されにやってきたので測ったもの。私が組んだものではありません。部品は結構高価なものが使われていました。

このアンプは半導体アンプとしてはずいぶん歪みが大きいのと、負荷をつなぐと最大出力が極めて小さくなります。トランジスタではあまり見ない回路になっているようですが、特性を落としているだけのように見えます。またこの歪み成分も偶数次が主体ではありませんからキンキンする音になる傾向があると思います。

回路を少し解析してみましたが、これはクリップも歪率もなるべくしてなっていますね。ちょっと酷いです。

 

 

上記3台はフルディスクリートですが、オペアンプとディスクリートバッファを組み合わせたアンプでも設計次第で特性は大きく変わります。ただしTHD+Nはオペアンプの優秀な歪特性と強力な負帰還によって差が見えにくくなります。過渡応答や音質への影響が大きいです。

また音質はデータに現れにくい部分でも大きく変わります。そのため技術の引き出しが多く、正確に解析できる設計者のアンプは音が良い傾向にあると思います。

 

番外編.クラフトマン作のプリント基板 オペアンプ+ディスクリートバッファ

測定点が少なく途中でやめています。THD+Nは良好ですね。0.5V付近のTHD+NはZwei Flugelとほぼ同じですが、音はずいぶん違います。

 

それでは皆様、良いものを選んでハッピーな音楽とオーディオライフを♪