技術系雑誌を読めば勉強できますか?と質問されました。
アナログ回路系に限れば内容が信用できるものはあまりありません。もしあっても雑誌は一冊で完結するものではありませんので、単価は少し高く内容も難しいですが通常の書籍をおすすめします。
オーディオ系の記事が載っている雑誌といえば無線と実験やラジオ技術をまず思い浮かべると思います。しかしこれらの雑誌は理論に関係なく音質を語っている記事が多いのです。
実際に全高調波ひずみ率が0.01%を全域で切っていないアンプの記事で、音が史上最高の構成ですとか音が満足できるものである、試聴会で褒められたという記述も見かけました。0.01%も歪んでいる音は、耳がよい人なら何か変だと感じるはずなのですが。
※元記事に全高調波ひずみ率と書いてあったのでそのまま記述しましたがグラフのカーブを見るとTHD+Nのように思えます。
※この記事のアンプは構造上改善したほうが良い点がいくつもありますが、筆者がオペアンプ交換を是としているようでしたのでMUSES03をOPA627に変更したら良いと思います。それだけで少し特性が改善するはずです。電源ピン直近に適切な形でバイパスコンデンサを入れれば音はもっと良くなると思います。
業界で最も有名といっても良いトランジスタ技術はどうでしょう。
こちらは結構技術的なことが書かれています。ちょっと怪しい記事もありますが。私のときはお題がお題だったので素子ごとの差がはっきり出るような項目を測定しまとめた形になりました。もう少し自由に書けたかもしれませんが、オーディオ雑誌ではありませんしそこで自己主張しても意味はありませんので特性の差のみに絞って書きました。
ブログと違い自由に書けない部分もありますし雑誌という媒体では正確さよりも重視されるものもあると思います。編集の人は回路設計者ではないのでニュアンスが通じにくくおかしな表現になってしまっている部分もあります。それでもグラフや表をいくつも載せてくれる点は良いです。
通常の書籍ではCQ出版の定本シリーズははじめて読む本としては最適だと思います。買って積んでいる人も多いみたいですがこれはかなりとっつきやすいほうです。ただしこれ一冊で良いアンプが作れるわけではありませんし十分な理解が得られるわけではありません。簡単な増幅回路のエッセンスがわかる感じでしょうか。また実際に設計するのであればオシロスコープとファンクションジェネレータは最低限必要です。
増幅回路は決して見よう見まねでは設計できません。