配線に電流が流れることで生じる雑音について | Analog of Magic もみじとクラフトマンのblog

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理想的な導体に電流が流れる場合は電圧降下が生じません。


しかし実際の導体はインピーダンスがあるため電流が流れると必ず電圧降下が生じますし、
過渡状態では結構ぐちゃぐちゃになっています。

たまに電源の電解コンデンサ部分の電圧変動を見て「このアンプは電圧変動が少ない」などと論じている人がいますが、電解コンデンサに電荷がたまっているのでその部分はほぼ変動しません。そこではないのです。

 


この電圧降下は雑音なので回路の動作に影響を与えます。特にステレオのアンプではチャンネルセパレーションへの影響も少なくありません。
※値が大きく悪化する場合の原因は別にありますが今回は書きません。


プリント基板は紙フェノール板やガラスエポキシ板ととても薄い銅でできています。そのため配線のインピーダンスは結構大きいです。1オンスのプリント基板では幅1mmあたり1Aという目安がありますが、これは発熱量の目安であり電圧降下は関係ありません。
音を追求するのであればこういった部分の過渡状態での乱れはできるだけ減らしたいです。そのためには電源からの配線を必要に応じてわけて、配線幅を十分に取り、他の個所へ影響が出ない範囲でループが最小になるような位置にデカップリングコンデンサを配置します。

文章で書くとあっさりしていますしこれは基本的なことなのですが、実際にやるには相応の知識と経験が必要になる部分だと思います。

 

GNDも同様に考えます。こちらは正負電源より少し複雑です。回路が基準として使っている部分の電圧をそろえないと雑音増加やチャンネルセパレーション悪化などの影響が出ることがあります。この影響を抑えた設計をするためには、回路そのものの特徴や動作原理、部品配置などをトータルで考えていく必要があります。

なおGNDにつながるすべての部分の電圧が等しい必要はありませんし等しくすることは困難です。重要なのはいかに他の部分への影響を抑えるかです。

 

 

AoMのアンプはこういった部分にももちろんこだわっているので、たとえ同じ部品を揃えてご自分で組んだとしても同じ音にはなりにくいのです。