変拍子の解釈 | umbrella 将のブログ
この頃、変拍子の解釈というのは
「ビートを感じた上で変拍子を解釈するのか」
というのと
「変拍子からビートを割り出す」
ということ、どっちの方が重要なのかな、と考えていました。
まぁ結果「また違った話だ」と気付いたのですが色々面白い事に気付いたので書いていこうと思います。

まず今回題材にしたのが、Porcupine tree、Anesthetizeというライヴ盤に収録されている「Fear Of A Blank Planet」から。



いきなり少し逸れますがライヴ盤の方がギャビンハリソンのドラムの暴れっぷりが豪快でドラムフリークとしては聞き応えがありますね。あとは音質的にアンビエント感がより感じられて聴きやすいです。音源のフォーカスがはっきりした感じも悪くはないんですが、ライヴでも演奏はCDクオリティですしね。

さて話を戻して、この曲はBPM=約161で6/4(4/4+2/4)が基本のビートです。サビは4/4、間奏は5/4(3/4+2/4)、間奏2は4/4、アウトロは3/4です。(基本の6/4はドラム以外の解釈は3/4かもしれない)

色々変わっててややこしいと感じるかもしれませんが、プログレとしては十分易しい部類だと思います。

さて、この基本の6/4ですが、上記youtubeを聞いてみて下さい。まぁ8フィールを4拍+2拍で並べて1サイクルのシンプルなフレーズです。

今回僕が注目したのは2サビの中間(03:28)にあるドラムのフィルイン。これがまぁとても面白いんですよね。
ざっくりした譜面ですが、こういう感じです。

{B4E872CE-E8AB-4F56-918B-255CBECB924E}

始め2泊は普通の8フィールなので省略しました。

これはつまりどういう事かというと

{49AF0A87-1F16-418C-9853-B146378DD413}

こうなるんですよね。3/4で一つの解釈しやすいフレーズになります。で、これは普通に聞くとこう聞こえます。

{5D989876-8EDB-43C9-AAD0-FE5C7688B0F5}

付点4分音符が4つ並んだフレーズになりますね。これは等間隔なので、ここもある種テンポ120くらいのビートとして捉えることができます。

まぁこういったフレーズですね。解釈するとただの付点4分のフレーズ。そんなに解釈の難しいフレーズではないんですが、このリズムになると何故かとても難しいんですよね。曲中で「何が起こった!?」ってなりませんでしたか??
まぁこれは単純にドラマーであるギャビンハリソンの4/6を感じさせないニュアンスが凄いんですけどね。

さて、じゃあこれを演奏する上で何が重要か。が冒頭のテーマなのですが、やはり4/6というかサビのビートである4/4を感じながら演奏することが重要だと僕は考えています。ただ、すっげぇ難しい。
頭では譜面で書いたように完全に解釈できているんですけどね。口でカウントを取りながら手で叩くこともできる。ただ、ドラムとなると物凄く難しいんですよね。出した実音の存在感の大きさに自分が付いていけないんだと思うんですけど。

「変拍子からビートを割り出す」というのは「聞く能力」になってきますね。downyの曲などはここすらも難しい。

しかし、最近はこういった追求が物凄く楽しいです。
そういう意味でPorcupine treeはネタの宝庫です。物凄く楽しい。単純に好みの問題でああいう雰囲気の曲は好きですしね。

そして全く関係無いんですけど、このFear Of A Blank Planetのイントロど頭のギターを弾いているスティーブンウィルソンの立ち姿がカッコよすぎません??
ただギター弾いてるだけ。でもこれこそ僕が理想とするアーティストの格好良さですね。僕はドラムですが、こんな格好良さを追求したい。


追記:ちなみにこのフレーズは変拍子ではなくポリリズムという表現の方がしっくりきますね。
ポリリズムを使い、4/4のビートの上に4/6を作り更にそれを4つで割れるフレーズにまとめる。ギャビンハリソンのセンスに脱帽です。

ちなみにポリリズムを解釈する上で非常に役立つのが最小公倍数です。
4分で割るなら1、8分なら2(8分音符が2個入るから)、16分なら4(16分音符が4つ入るから)と考えて、それとフレーズの拍数の最小公倍数を考えるとビートとフレーズの頭が被るところを楽に見つけられます。
今回のケースだと16分単位の音符が入っているので4で考え、16分で考えると一つのフレーズは16分が6個で一つです。つまり4と6の最小公倍数は12。
12ということは4分に直すと3つなので、3泊ごとに頭が揃うことになります。