釜わらしが女の子か男の子かというのは、大した
問題ではではなかった。それはとにかくお人形さん
みたいに可愛かったし、ぜひ友達になりたかった。
名前を聞いても精霊と答えるだけなので、伸介は
女の子のマコちゃんという名前をつけてやろうとかと
考えていた。
話し方や身振りが女の子のようなので、そのこと
を提案してしみた。
「名前はマコちゃん、というのはどう?」
「マコですか?」
「だめ?」
「いい名前ですね」
「よし決まった。これからそう呼ぶから」
「はい、わかりました」
「ところで、マコちゃんは何歳なの?」
「さあ、何歳でしょう」
「ぜんぜん見当つかないや」
「ゼロ歳ですよ」
「ええ?ゼロ、ゼロ歳?」
「そうです。精霊は人間のように歳をとらないんです」
「ふーん、すいぶん長生きするんだね」
「そうですね」
「人間のように死なないんだ」
「でも役目が終わると神様に召されます」
「役目が終わるって、何のこと?」
「それは言えません」
「神様だけが知っています」
「ふーん、そうなんだ」
実はマコちゃんには、ちゃんとした役目があったが、
それはまだ伸介に教えてはいけなかった。まず伸介
と信頼関係を築くことが必要だった。
伸介は興味深々で、マコてゃんについて何でも知り
たかったので、いろんなことを問いかけてみた。マコ
ちゃんは何でも知っているので、伸介はすっかり感心
していた。
聞きたいことはたくさんあったが、少しでも人間の
気配がすると、釜わらしはすっとどこかね姿を消して
しまう。
だからいままでその姿が見つからなかったのだ。
伸介は釜わらしという小人がいることは、だれから
も聞いたことがなかったので、何度か会っているうち
に尋ねてみたくなった。
「ねえ、ひとつ聞いてもいい?」
「何かしら?」
「あの、釜わらしって、どこの家にもいるの?」
「いいえ、どこにもというわけじゃないわ。神様から
ご指示があって、そこへ出向くようになっているの」
「ふーん、どんなご指示なの?」
「お風呂のことで何か問題のある家があれば、そこ
へ行ってあげることになっているわ」
「ぼくの家は別に困っていないけど」
「今はそうですが、近いうちに問題が起りそうよ」
「ええ?そうなの。何だろう?」
「……」
マコちゃんは何かしっているようだったが、何も言っ
てくれなかった。だが、何か深いわけがありそうだっ
た。
→「第8章 釜わらし8」につづく
