特例事業承継税制により納税を免除できるのか


1.はじめに

特例事業承継税制を活用することにより、非上場株式の贈与税と相続税の納税を免除できる可能性がございます。今回から数回に分けて特例事業承継税についてご説明していきます。

初回は本制度の概要をお伝えします。


2.そもそも特例事業承継税制とは?

ざっくりいうと、特例事業承継税制とは、オーナー社長から事業承継を受けた子供が、将来的に、次の後継者、つまり子供の子供(オーナー社長の孫)に事業承継させることができた場合には、本来支払うはずだった相続税(もしくは贈与税)を全額免除してくれる特例です。

この制度は、生前贈与又は相続によって株式をオーナー社長から子供に株式を移転する必要がございます。

したがって、売買で株式を移転した場合は、特例事業承継税制の適用はできないことになります。


3.贈与税又は相続税の免除方法


オーナー社長から、子供に株式を移転させてすぐに税金が免除になるわけではなく、その子供が事業を継続させ、将来的に、次の後継者、つまり子供の子供(オーナー社長の孫)にバトンタッチができて初めて免除になります。免除になる前の期間は、税金の支払いはあくまで猶予されている状態です。


ポイントは、この制度を使っても、すぐに税金が免除されるわけではないということです。


4.メリット

ざっくりいうと以下の通りです。

①払わなければいけない税金を払わなくていい可能性あり

②相続税で納税猶予を利用した場合は、銀行借入より、低金利で納税資金を確保したものと同じ経済効果が生じる(現状金利0.7%位)


5.デメリット

ざっくりいうと以下の通りです。

①とにかく適用要件が複雑であるため、事業承継専門の税理士以外では対応できない

②免除までの道のりが数十年続く可能性あり

③毎年継続して書類を税務署や自治体に提出必要あり

④納税猶予の打ち切り事由に該当した場合は、税金と利息を一括で支払う必要がある


6.最後に

私見ですが、制度は複雑ではありますが、親族内承継の案件ついては、特例事業承継税制を活用すべきだと考えております。

次回以降は、適用要件等の細かい部分もご説明していきます。