昨年、猛暑のせいなのか米の生育が悪いという評判がたったのがきっかけだったような気がするが、それか半年経たないうちに米の価格が倍近くなった。上がり始めてからちょっと危機感が出てきた頃「米は十分出来ているので秋には価格が落ち着くだろう」と関係者は云っていたがとんでもない。さらに備蓄米を年明けから出しても値段は変わらず、備蓄米自体が出回らない、という謎な現象になっていた。
ここへ来て小泉新農水大臣の強力な備蓄米放出の推進により、あっという間に低価格の古古(古?)米が出回り、騒ぎは沈静化しつつある。不思議なことに品薄だったはずのブランド米なども価格は高いが出回り始めている。
何がおきってんでしょうね~。想像はつきますが。
そもそも古今東西問わず、食糧不足で餓死者が出るという原因は生産された食料が足りないのではなく、流通しないのが原因とされている。途上国などでも餓死者が出る事態になっても実は食料は輸出されているというのも聞く話だ。
で、これを書いている間にも種明かしがされていて、どうやら流通経路において従来以上の利益確保が行なわれいていたようだ。
原則資本主義だから、どういう値段になろうが需要と供給の関係で決まる、というような発言があるが本当にそうだろうか。
エネルギーやインフラなどもそうだが、供給できるところが限られていてかつ国民生活に必須なものは需要と供給の関係で価格を決めたりすれば、供給側の言い値になる。なのでそれを防ぐために生活上必須分野は政府が何らかの形で干渉している。ガソリンは補助金で価格が上がりすぎないようにしているし(それより税金を下げた方がよいと思う)、交通機関の値上げは政府、自治体の承認がいるようだ。
ところが今回昨年の時点で値上がりが心配されたにもかかわらず、政府は手を打ってこなかった。「米が買えなければ餅を買えばいいじゃない?」とでもいいたげだった。餅はないか。パン、そば、パスタかな。それでここへ来て小泉新農水大臣が「とにかく安く出せ!!!」とやったおかげでそれなりのリーズナブルな価格で出てきたというわけだ。
そもそも値上がり始めた時点で、お米がどこにどのくらいあって、それぞれの段階でいくらで取引されているか調査すればこんなに値上がることはなかったと思うし、おそらく口先介入だけでも効果があったと思う。米を買ったことがない大臣に要求するのは無理だろうが。
小泉大臣は「国民のお米離れを防ぐ」という云い方をしていたが、おそらく本心は違うだろうし、それは見当違いだと思っている。主食の円滑な供給を守る、というのが正しいだろう。大臣を批判するつもりはもちろんない。単純な資本主義の原則を当てはめてはいけない、ということだ。
小泉大臣が動き始めてから、議員、農業関係者が色々な発言をしているが、どれもこれも自爆のように聞こえる。批判のための批判かいいわけに過ぎないような発言が多いと思われる。特に長いスパンで考えなくてはいけない、などという話は噴飯物で、今食料の高騰に困っている国民の要望の方が優先度は高い。短期間で備蓄米を安く売ったところで農家に影響を与えるものではないだろう。とりあえず国民の腹を満たして、それから農業政策をきっちと考えればいい話だ。
だいたい末端価格が下がると米農家がやっていけなくなる、というのは見当違いで、米の大手卸売業者の営業利益は対前年比500%くらいなどという報道があるから、価格が上がっても生産者にはメリットが出ていないのが現状であろう。そもそも買付価格というのがあるらしく、これが農家の収入になるわけだから、小売価格の上昇は商流の関係者の利益になると考えられる。
妙な論点ずらしやレトリックが横行しているように感じるのは私だけではないだろう。
諸兄はいかがだろうか。
← にほんブログ村「科学」-「技術・工学」へ
↑ クリックをお願いします。