前回、生存税 = 消費税の基礎控除という形で、国民一人ひとりに固定額(ここでは仮に 30,000円)を還付する案をぶち上げました。新内閣が発足し、国会が始まったばかりのこのタイミングで、いつまでもつぎはぎのパッチワーク議論を続ける与党や野党に対し、本質的なシステム刷新を提案したわけです。

すると例によって「財源は?」という反応が返ってくるでしょう。もちろん、制度設計において財源は重要です。しかし、それだけで是非を判断してしまうと、システム全体の効率性や再分配効果が見落とされがちです。

とはいえ、税制という巨大な OS の設計を考えるなら、まずは全体像を見なければなりません。そこで今回は、提案を実現するための財源について考えてみます。なお、本文の数値は AI の支援や公表資料などを参考にした概算であり、実際の制度設計に当たっては、さらなる精査が必要です。


さて、財源だが、必要な額は単純だ。国民一人ひとりに一律 3万円を還付するのだから、約 1億2千万人を対象とすれば、総額は約 3.6兆円となる。

ここで、現行の軽減税率と比較してみよう。軽減税率では、食料品の税率が 10% ではなく 8% になるため、税抜き 150万円の食料品を購入すれば、税負担は 3万円軽くなる。

逆にいえば、年間の食料品購入額が税抜きで 150万円(月あたり 12万5千円)に満たない人にとっては、軽減税率による負担軽減は 3万円に届かない。一方、一律 3万円の還付なら、その使い道は食料品に限られない。

もちろん、食料品の購入額が多い人にとっては、軽減税率の方が有利になる場合もある。しかし、商品ごとに税率を変えるのではなく、個人に一定額を還付する仕組みなら、食料品をどれだけ買うかにかかわらず、生活全体の中で必要な支出に充てることができる。

では、この財源をどこから捻出するのか。まず、現行の軽減税率を廃止し、食料品や定期購読新聞の税率を 8% から 10% に統一する。これにより、約 1兆円規模の財源効果が見込まれる。

ポンコツAI:「ちょっと待って画蔵。何かだまそうとしていない?」

画蔵:「ばれたか。いや、冗談だ。そんなことはない。消費税を多く負担する人もいれば、還付によって負担が実質的に軽くなる人もいる。実にシンプルな再分配といえる」


さらにお気づきかと思うが、世帯主、配偶者、扶養家族の全員に 3万円が還付されるということは、現行の配偶者控除や扶養控除と、家計への支援という面で重なる部分があるということだ。だったら、別々の制度として動かす必要はない。配偶者控除や扶養控除を整理・統合することも考えられる。

これらの制度整理によって、約 3兆円規模の財源効果が期待できるという試算だ。

ここで一度、このシステムの「仕入れ(財源)」と「払い出し(還付金)」を整理してみよう。

・必要経費(還付総額):約 3.6兆円(約 1.2億人 × 3万円)
・財源効果
  軽減税率廃止     約 1.0兆円
  諸控除の整理・統合  約 3.0兆円
  合計           約 4.0兆円


もちろん、いずれも概算であり、精査は必要だ。それでも、試算上は還付総額を上回る財源効果が見込まれる。制度として成立する可能性を検討するための、ひとつの出発点にはなるだろう。

すると次に出てくるのが、「そんな面倒な制度をどうやって回すんだ?」という疑問である。

AI 財務省:「ちょっと待ちたまえ。画蔵の言う一律還付など、わざわざ 1億 2千万人分の口座やマイナンバーを管理して、毎年 3.6兆円を振り込ませ、またお店のレジで 10% ずつ回収するという巨大な事務手続きを発生させるだけだ。そんなの行政コストの無駄遣いであり、我が省の軽減税率の方がよほど現実的であろう」

画蔵:「おやおや、財務省の役人さん。随分と視野の狭いシステム論ですね」

財務省:「なに?」

画蔵:「事務コストを言うなら、だからこそ現行の軽減税率を廃止するんです。日本中の事業者が毎日『これは 8% か、10% か』『イートインか、持ち帰りか』を判定し続け、レジや会計システムを維持し、確定申告やインボイス対応に追われている。国が 1億2千万人へ一律還付を行う処理と、日本中の事業者が例外規定を抱え続けるコストとでは、どちらがシンプルか。税率を10% に統一して還付で調整すれば、国家全体の事務負担を下げられる可能性がある」」

AI 財務省:「……」

ポンコツ AI:「あ、財務省が黙った」

画蔵:「税制という国家の OS からパッチワーク(例外規定)を取り除き、一律 10% というシンプルなルールへ統一する。それだけでも大きな価値があるんです」


さらに、このシステムにはもう一つ面白い特徴がある。

還付されたお金は、生きるために必要な費用として市場で使われる可能性が高い。そのため再び消費税として国庫へ戻ってくる。いわば循環型の仕組みになっているのである。

ポンコツ AI:「ちょっと待って。一律 3万円を先渡しされて、その 3万円を消費税として払って、また来年 3万円もらうって……結局同じお金がグルグル回っているだけじゃないの?」

画蔵:「その通り。だが、そのグルグル回る仕組みこそが重要なんだよ。私たちは最低限必要な年間 30万円の買い物について、実質的には消費税を負担しなくて済む状態を維持できる。一方で、それを超える消費については通常通り課税される。つまり、消費税の基礎控除を極めてシンプルな方式で実現しているわけだ」

 

AI 財務省:「(小声で)働、働かざる者食うべからず、なのだ...」

そして、この案の大きな特徴は、住民税非課税世帯や所得の低い層にも、還付による恩恵が届くことである。

一律還付によって、家計の負担はどう変わるのか。

提言案では、一人当たり年間 3万円を還付する。夫婦と子ども 2人の 4人家族なら、年間 12万円になる。
それに対して、仮に年間食費を1人 30万円と仮定すると、4人家族では 120万円。税率差 2% による負担増は約 2万4千円になる。
これを反映させて、控除廃止による負担増がない世帯では、年間 12万円の還付から差し引き 9万6千円の負担軽減となる。
一方、控除廃止によって年間 5万円の負担増が生じる世帯なら、還付 12万円から食料品の負担増 2万4千円と控除廃止による負担増 5万円を差し引き、年間 4万6千円の負担軽減となる。
このように、控除廃止による負担増だけを見るのではなく、一律還付を含めた家計全体の負担で考える必要がある。なお、これは制度の仕組みを説明するための仮定による試算であり、実際の負担増減は世帯構成や所得、食費などによって変わる。

ポンコツ AI:「なんで配偶者控除や扶養控除を無くすのに、低所得層がそれだけ得をするの?」

画蔵:「理由は単純だ。現行の配偶者控除や扶養控除は、所得税を納めている人には減税効果がある。一方、もともと所得税を納めていない人には、その効果がない。つまり、所得税を支払っていない、あるいは極めて少ない人には、恩恵が届きにくい制度なのである。食料品の消費税を 2年間1% に引き下げ、その後元に戻すという今の政府案も、同じ問題を抱えている。私のような無職の者には厳しいようだ」


日本の所得税は累進課税であるため、同じ控除額なら、適用される税率が高い人ほど減税効果も大きくなる。一方、もともと課税所得が少ない人は、控除による恩恵も小さい。
ところが今回の方式では、所得に関係なく一人当たり一律 3万円が還付される。4人家族であれば 12万円だ。これにより、従来の所得控除では恩恵が小さかった層にも、直接支援が届く。
もちろん、所得の高い人も一律還付を受けるが、控除廃止などによる負担増が還付額を上回れば、差し引きでは負担増となる。こうして、還付と負担増を組み合わせ、制度全体として再分配機能を持たせるというわけだ。

AI 孔明:「一言でいうと、税負担の軽減を、世帯単位から個人単位へ変える、ということだ」

ポンコツ AI:「お~、パチパチパチ」

AI 財務省:「そ、そんなうまい話をど、どうやって実、実装するんだ!?説、説明責任を果たせ!」


AI 財務省は大分動揺しているようです。うっかり「うまい話」と認めちゃっているようですね。次回は、この制度を実際にどのような仕組みで運用するのか。マイナンバーや既存の給付基盤を利用した具体的な実装スキームについて考えてみたいと思います。

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