最近賑わしているダイハツの認証不正に関する顛末はなかなかインパクトがある。

出荷停止、工場操業停止は当然のように言われているが、影響もスゴイ。

もちろん認証不正を擁護するつもりはない。そもそもルールを守る、自分たちで決めたルールもちゃんと守る、というのが組織の基本だからこれは言い訳しようがない。

それにしても自動車業界は定期的にこういった不祥事が発覚する。日本の基盤産業でこんなことが起きていてははなはだ心許ない。

引退技術者の私も「何やってんだろうね~」と首をかしげるし、ハラを立ててなくもない。

 

さて前に日産自動車の不祥事に触れたことがある。それは社内規定に示されている手順、あるいは資格を無視した行為が問題になったわけで、自分たちで決めたルールを守れなかったケースである。擁護するつもりはないが法で定められた規定に対してではなかった気がする。想像するに作られた規定が現場に即していなかったと思う。

 

今回はどうかというとこれは報道されていないのだが誰が決めた認証なのか、というところがはっきりしていない。もちろん誰が決めようと認証規定を守ると決めたなら、それを愚直に守らなくてはいけないのが当然として、認証=高品質、安全になっているのかどうかよく分からない。現場無視の認証規定になっていないだろうかと心配になる。

とはいえ内部告発から半年以上も経って公開するなどなんだろうという気がする。変なタイミングで発表して混乱を起こしてはいけないという意識も分からなくもないが。

 

なんでも調査によると一度の成功体験によって短納期開発当然、認証一発合格当然という気運が社内に醸成されてしまい(否定的なイメージに「醸成」はないか)現場へのプレッシャーになったとのことである。なんか現役時代を思い出して切ない気分である。とはいっても開発部内の認証チームがあるというはどうかな、と思う。

 

12月22日の「ひるおび」で報道していたが、ダイハツの機種はヨーロッパ展開しているものに関しては TUV(U は u ウムラルト)の規格に合格しているとのこと。TUV とはヨーロッパの安全規格でかなり厳しい。私も苦労させられた。今回の問題が社内認証に関する不正だったのに対して、こちらは公的機関(?)による認証なので第三者によるものだからクルマとしての安全性はそれなり担保されていると思って良い。なのでダイハツのクルマが世界中でトラブルだらけ、という心配はなさそうなのが救いである。

 

事後処理に加え法令遵守の社内風土を作ることや、現場の声に沿った事業計画など宿題はやまほど出来てしまったようだが、加えてそもそも認証規定についても、もし社内規定であるならば見直さないと開発現場が苦しむだけである。

 

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