今年の夏は猛暑で凄かった。熱中症が怖くて外は歩けないし、ということで家に引き篭もるのだが、家の中でも熱中症のリスクがあるからエアコンを適切に使ってというアナウンスに従ってエアコンを使う。そして電気代が~!!!というわけだ。
実際ここまで気温が上がると窓を開けて風を通して、なんていう対策ではどうにもならないので必然的にそうなる。
なので以前猛暑手当を~と絶叫してみた。
で、まあやはり自分なりに自衛策は必要と思っていたところ一昨日の NHK クローズアップ現代で「電気代の不安▼住宅用太陽光パネルで“創エネ”暮らしどうなる」というのをやっていた。なんと冒頭に「太陽光パネルで電気代が半額になった」という例が紹介されていたので視聴してみた。番組内では都内の三人家族家庭で太陽光パネルを導入してみたら電気代が約半分になったということなので、すげぇ~!というわけだ。
そこで早速自分も導入してみようとその家族が使っているとおぼしきメーカのカタログをチェックしながら、どのくらい節約できるのか、何を買えば良いのか検討してみた。
まずサイズ的には幅 1m強というところだろうか。実はこのメーカの太陽光パネルは以前からチェックしていて、おそらくこれだろうというのは見てすぐ分かった。
で、このモデルはどうやら発電量がピークで 100Wクラスのもののようだ。この家族はこれを使って発電するそばから写真の充電池やクルマの充電池などに充電しておいてそれを電灯やその他の家電製品につなぐらしい。投資コストは 6万円ぐらいといっていたかな。
ではこんなんで良いのか?と思いながら、我が家の場合はクルマの充電池はないから大きめの充電池を使う必要があるな、などと考え、1000Whクラスのものがいいか、と検討を始めた。
あれ?スペックによるとピーク 100Wクラスのパネルを 1000Wh のバッテリに充電しようとすると約 17時間掛かるらしい。日照時間を考えると二日かかる。充電中は太陽光パネルの電力は他の機器につなげられないから、充電が満タンになったあとに機器につなぐのだが、それで使える電力は 1000Wh が最大である。というかパネルの平均出力と発電時間が一日で使える太陽光エネルギーである。ピーク 100W のパネルの実力は平均で 60W/h が目安のようで、これを日照時間 12時間で発電させたとすると、720W(= Wh、この表記の説明は慣例的なものがあって面倒なので省略。分かる人は違和感があるはず)がいいところである。
ではこれはいくらに相当するのかというとだいたい 30円 / kWh が目安とすると、21円になる。これが 30日とすると約 600円になる。
なんか一桁違わないか?今の検討ではバッテリの数は入っていない。一日辺りの発電量を蓄えるのに十分なバッテリが準備されているということで、実際紹介された家庭でもいくつかのバッテリを使っている。が、おかしい。
で、もう一度 NHK の見逃し配信を見てみたら(以下の url をクリックした後、右上の「さがす」から「太陽光発電」と入力すれば動画を見ることができる)、この映像が出てきた。
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2023100403309
なんと確かに 4月は約半額になっているが、5月以降はそこまではいかない。では昨年の 5月頃に導入したのでは?と思うが、5月は 5月で昨年比でそれなりに減っている。そもそも三人家族で 16,133円も電気を使うか?4月頃はエアコンも使うわけでもなし、そんなに消費しないと思うが。オール電化でもそこまではいかないのでは、というのは無知だろうか。
思うにこちらの家族子どもがまだ小さいことから、昨年は乳幼児だったとして、それが故に色々電気代が掛かったのかと思う。
あるいは生活が変わった(引っ越したばかりで掃除などで電気を大量に使った、電気の契約を変えた)などがあったのではないかと想像している。他人のプライバシを詮索するのは本意ではないのでこの以上は止めておくが、単発の実績を取り上げて「電気代が半額になった!」と云っているような気がする。もちろん私の検討に誤り、抜けがあっても不思議ではない。たとえばパネルについていうと 100W クラスのものはパネルのセルが正方形だが、この家族が使っているものは横長の長方形である。従ってモデルを見間違えている可能性はある。それでも仮に 200Wクラスだとして、一月あたりの発電量は 1,200円である。
とはいえ番組で伝えようとしていることには賛成で、太陽光発電は究極のエネルギーソリューションとは思っていないが、最終システムが提案されるまでのつなぎとして、家庭レベル、地域レベルでも導入できるので積極的になるべきと思っている。
ただ番組を見て「半額になるなら投資する価値あり」と思って無検討で導入する人が増えてはミスリードになるだろう。もう少し慎重に番組作成をして欲しいものだ。
← にほんブログ村「科学」-「技術・工学」へ
↑ クリックをお願いします。