福島第一原子力発電所の処理水の放出が始まって約一週間、まあ色々ゴタゴタが出てきている。

一番驚いたのが国内の一部政治家の中でそれに反対意見を述べていることだ。しかも慮っている先が海外だったりしている。

いやいやそれはまずいでしょう。少なくとも日本の政治家としては。

国内の活動に関して海外の反応を引用して政府の批判するのは間違っていると自分は思う。それは単なる批判するための材料に海外の反応を使っているに過ぎなくて、むしろ海外から日本との交渉の手札を渡しているようなもので国益を損なうものである。

そういう発言をしている政治家は名指すまでもなく「やっぱりか...」というメンツだからさもありなんだが。

 

海外への説明というと「安全か安心か」という観点だけについていえば、IAEA の確認をもらっているというのが日本にとっての免罪符ではある。だが国によっては「そんなの関係ねぇよ~、おまえのとこらがやるのはダメ」といっていて制裁措置を講じている。しかもご丁寧に迷惑電話付きである。レベルの低さが良く分かる。

要は「横断歩道を手を挙げて渡っていたが轢かれたでござる」という状況だ。相手が理不尽であることは分かっていても痛い目に会うのが自分ならば手を打っておくべきだ、というのが前回の書き込みだが今回はどうすべきだったか。

放出しない、という選択肢はない、ならば起こりうることを想定して手が打てるものがあれば打っておくことだ。

ところが先週辺りからかの国の制裁措置が発動して影響が出だしてから「こんなに急に!」「想定外の反応!」という声がテレビで聞かれた。なんという脳天気な!と思う。放出をアナウンスしてから約一ヶ月、その間に周辺国の反応を見ればやって来そうなことは想像できたろうに。レアアース問題を忘れたのでしょうか?この時は日本の技術力にものを言わせて返り討ちにしたが、今回はどうなのだろう。生鮮食品なのですばやい対応が求められるが見えないところで何か動いていたのだろうか。

 

素人意見で恐縮だが、分かりやすいところで「他の国への販路の拡大」「国内消費」などが思い付く。いずれも規格の問題などがあってすぐには出来ないようだが、それでも一ヶ月あればそれなりに準備は出来ただろうに。

 

まあこれらはお手並み拝見としておこう。補助金などによる救済措置は下策といっておく。政治家は事業者と各国を回って営業活動していただきたいと思う。

 

で、国内の問題だが、マイナンバーカードの件もそうだが、「説明尽くしていない!」という声が世論調査などで聞かれる。政府は「丁寧に説明をする(した)」といっているがそのギャップが埋まっていないようだ。

では何を聞きたいのか。この辺りがはっきりせず単なる不満、反対するための手段として「説明が不十分」という言葉が使われているように思えた。マイナンバーカードの件なんかは何が懸念材料なのかまるで分からない。

 

だが処理水放出に関しては少し私の認識は違っていたようだ。これについて NHK のクローズアップ現代で解説者や業者の発言が紹介されていたのだが、これらから聞き取れたことを一言でまとめると、

 

原子炉の廃炉という国家事業に対して、処理水放出の位置付け、影響を受ける業者の立ち位置を教えて欲しい

 

どうもこういうことのようだ。福島の業者もまるで反対とか云っているわけではなく、もはや受け入れざるを得ない状況は理解してるといっていて、では受けいることでどんなことが進むのか、全体の問題解決に対してどれだけ貢献出来るのかを知りたい、明確にして欲しい、ということである。

 

なるほど自分たちが苦労するだろうが国益(国損へのリカバーが正しいだろうけど)への参画している実感があると頑張れる、ということなら分かる。苦難を背負うならモチベーションが大事ということだ。そういう観点で説明してきたかどうか私は詳細を知らない。だが折に触れて東京電力も政府もきっちとプレゼンしてこないからこういう意見が出るのだろうと思う。

 

説明不足と一言で言ってしまうのは簡単だが、本当に知りたいこと、その説明を聞くにはどうしたら良いか、発信側はどのパスを使うのが良いかについてもう一度考え直してはどうかと思う。

 

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